”最後の砦”貴景勝が「大関全員負け越し」の危機回避 正代を破り8勝7敗で勝ち越し【大相撲夏場所】
◇22日 大相撲夏場所千秋楽(両国国技館) 最後は意地というのか、無我夢中だった。大関貴景勝(25)=常盤山=は大関正代を押し相撲で攻め立てた。ただ、こらえられ、逆襲に遭う。土俵際へと追い詰められもした。何とか回り込んでしのぎ、最後は再び盛り返して突き落とした。 勝負あったと思われたが、物言いが付いた。貴景勝の足が出ていたのではとの協議。「正直、本当に出たか、出ていないか、さっぱり分からなかった。説明を聞くまで分からなかった」。それほど必死だった。足は出ておらず、行司軍配通り。何とか勝って、勝ち越しを決めた。 御嶽海、正代がすでに負け越し。自身は7勝7敗で千秋楽を迎えた。もし敗れれば、現行のかど番制度が導入された1969年の名古屋場所以降では初となる、皆勤の大関が全員負け越しという悪夢。いわば最後の砦(とりで)が、14日目に御嶽海、そして千秋楽に正代を連破し、何とか威厳は保った。 一人勝ち越したとはいえ、それも8勝7敗。横綱が意地を見せたが、大関陣には奮起が求められる。伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「本人たちが恥ずかしいのでは。大関の地位にいながら」と言い、来場所かど番となる2人に関しては、「自分の相撲をもう一度見つめ直して、堅固に励んでほしい」と語った。 もちろん貴景勝も責任を痛感している様子だった。「もっと良い成績を残したい。(今場所は)悪いところだらけだった。自分で課題は分かっているので、しっかりトレーニングしていきたい」と口元を引き締めた。 勝ち越しうんぬんで話題になるのは寂しいもの。大関陣には、優勝争いを繰り広げる活躍が求められる。
中日スポーツ