セブンの「7NOW」、事業拡大へ クイックコマース支える配達員はギグワーカーも
セブン、宅配ピザ市場に参入 「焼きたて」を訴求
全国展開を前に、現在一部店舗でテスト販売中の「お店で焼いたシリーズ」の配送を進めています。そのメインとなる商材「お店で焼いたピザ」の店頭販売とお届けを首都圏30店舗でテストしてきました。2024年8月には扱い店舗を首都圏と九州、北海道エリアを合わせて200店舗に広げています。 焼きたてのメイン商材を「ピザ」にしたところに野心的な姿勢が見て取れます。 日本の外食産業において近代的なデリバリーサービスは、1985年9月に米国ドミノ・ピザ社とエリアフランチャイズ契約を締結した日本法人(ワイ・ヒガコーポレーション)が始めたピザの宅配です。当時は、そば店や中華料理店、寿司店による「出前」はありましたが、デリバリーを「専門」とする近代的なお届けサービスはありませんでした。 それまでは店内の食事提供が基本にあり、出前はその「ついで」に位置付けられていました。日本のドミノ・ピザは業界常識を打ち破り、デリバリーサービスを基本にした商品とサービス、システムを構築しました。その後、ドミノ・ピザの成功を契機に、さまざまな業種で近代的なデリバリーサービスが生まれました。 そのデリバリーサービスの歴史をつくった象徴的な商品「ピザ」にセブン-イレブンは挑戦します。現在、ピザ宅配の上位3チェーン(ドミノ・ピザ、ピザーラ、ピザハット)を合わせると店舗数は約2000です。 拠点数から見るとセブン-イレブンの10分の1以下です。セブン-イレブンが仮に全店規模で「焼きたてのピザ」を提供し、定着していくと、他のコンビニチェーンにも波及していきます。「コンビニコーヒー」の普及と同様に「コンビニピザ」の登場です。 商品は「マルゲリータ」780円(税込み)と「照り焼きチキン」880円(同)の2種類。サイズは宅配ピザチェーンのSとMの間を想定、量目当たりの価格はスーパーマーケットより上、宅配ピザチェーンより下のイメージです。 ピザの供給はセブンプレミアムゴールド「金のマルゲリータ」(冷凍)と同じメーカーが担っています。「焼きたて」とはいえ、家庭でレンジアップする商品と異なり、焼成してから時間の経過があるため、生地はもっちりとした感覚を残しています。顧客がどのような環境で口に運ぶのかを注視しながら改良を加えていくといいます。 7NOWがピザに取り組む上で強みになるのが、店舗で品揃えしている約3000アイテムの中の商品を一緒にお届けできることです。人によってはピザ欠かせないワインやビール、食後のスイーツ、アイスクリームも加えた総合力で勝負していきます。ピザは冷凍生地なので廃棄ロスは出ません。お届けは外部の業者が担うので、加盟店の余計なコストも発生しません。