“元バイトAKB”プロレスラー上谷沙弥が“ビッグダディの娘”林下詩美に挑む「武道館で人生の大逆転を」
女子プロレス・スターダムの10周年記念大会が、3月3日(水)に日本武道館で開催される。そこで、赤いベルトを持つ“ビッグダディの娘”林下詩美に挑戦を表明したレスラー上谷沙弥。幼少の頃からアイドルに憧れ、元バイトAKBという異例の肩書をもつ彼女が、なぜレスラーになったのか。そして、キャリア1年半でなぜベルトに挑戦したのか、話を聞いた。(前後編の後編) 【写真】持ち前の身体能力を活かしてリングで高く、華麗に舞う上谷沙弥【12点】 バイトAKB終了から、4年近い月日が経過。約半年間の練習生期間を経て上谷沙弥は2019年7月、プロテストに合格。8月にデビューすると、年末に開催された新人王決定トーナメントで優勝し「未来のスターダム」と称されるようになった。 そして今年の1月5日。新日本プロレスの東京ドーム大会で第0試合に登場した上谷沙弥は難易度が高く、ほとんど使い手のいないフェニックススプラッシュを見事に決めてみせ、普段、女子プロレスを見ない新日本プロレスのファンをも驚嘆させた。 その勢いで「日本武道館で林下詩美の赤いベルトに挑戦したい」と表明したのだが、このひとことが大きな波紋を呼ぶことになる。 「賛否両論というか、ほとんどが否でしたね。私を応援してくださっているファンの方たちは『がんばれ!』って励ましてくれたんですけど、それ以外の人はみんな『実績がない』『まだ早すぎる』みたいな感じで……ここまで批判されるとは思っていなかったですけど、私も覚悟を決めて発言したんです。もう人になんと言われようと、自分とファンのみなさんを信じて、武道館ですべてをひっくり返します!」
挑戦者としての実績を残すために…
たしかにキャリア1年半で、団体のてっぺんに挑むのは『まだ早い』と言われても仕方がない。ただ、現在のスターダムは選手層がものすごく厚くなっており、挑戦権を有する選手が何人もいる。おとなしく順番待ちをしていたら、おそらく年内にチャンスは回ってこない。だったら批判覚悟で「10周年」「団体初の日本武道館」という最高の舞台に名乗りをあげるのは間違っていない。まだ誰も手をあげていないタイミングだったこともあって、彼女の主張は団体サイドにも受け入れられた。 ただ、観客に望まれないままで武道館を迎えるのはよろしくない。順番は逆になってしまったけれど、ここから上谷沙弥は挑戦者としての「実績」を残すために奔走する。 2月13日の後楽園ホール大会では元チャンピオンで最強外国人レスラーのビー・プレストリーと時間切れ引き分けの大熱戦を展開。翌14日には4WAYマッチ(4人の選手が同時に闘う)という変則的な試合形式ながら、初公開のスワンダイブ式フランケンシュタイナーで林下詩美から文句なしの3カウントを奪取。その結末と凄技のインパクトに、マスク着用で声援も禁じられている場内が、異様などよめきに包まれた。その後に起きた万雷の拍手は観客からの「挑戦権認定書」だったと思う。