【野球21Uワールドカップ】侍は無念の2位、データで大会を振り返る
「侍ジャパン」いまだ優勝できず
2013年5月に「野球日本代表マーケティング委員会」が設立され、各年代、性別の日本代表が「侍ジャパン」として統一されることになった。しかし、これ以降「侍ジャパン」として様々な大会に臨んだ男子チームは苦戦が続き、7つの大会で優勝を逃し続けた(表1)。そんな中で迎えたのが今回の第1回21Uワールドカップだ。プロ16人、アマ8人の混成チームで出場した日本は、1次リーグ初戦のオーストラリア戦こそ苦戦を強いられたものの、ベネズエラ、オランダ、ニカラグアには危なげなく勝利し2次リーグに進出、ここでもチェコ、韓国、台湾に3連勝して決勝へ進んだ。しかし台湾との再戦となった決勝では先発の森雄大が四球を連発、2回途中でKOされると、ここまで無失策だった守備にもほころびが生じ序盤から失点を重ねてしまった。打線も西武への入団が決まっている郭俊麟に手も足も出ずにわずか4安打で無得点。最後の最後にワーストゲームを披露してしまった。2位に終わった今大会だが、出場選手の中には来シーズンプロ野球での活躍が期待できそうな選手が何人かいた。そんな選手たちを紹介していきたい。
打者では鈴木、北條が活躍
まずは今大会の打者成績をご覧いただきたい(表2)。一番の活躍をみせたのは鈴木誠也(広島)だ。主に3番と5番で出場し、打率は驚異の5割超、本塁打こそなかったが右方向へ大きな打球を放つ場面が目立ち、二塁打3本、三塁打4本と長打を連発、盗塁も3つ決めるなど持ち前のスピードとパワーを遺憾なく発揮し、長打率の.846、OPSの1.377は全選手中トップの数字だった。今シーズンは広島でも出場36試合で打率.344と飛躍を感じさせる内容だっただけに、来シーズンの大ブレークに期待が持てそうだ。 鈴木に劣らない活躍だったのがチームトップの8打点を挙げた北條史也(阪神)。初戦のオーストラリア戦では9回に同点につながるヒット、ベネズエラ戦では先制の3ランを放つなど大会前半の活躍はチームに勢いをもたらした。2次リーグ以降は1安打と課題も残したがポテンシャルの高さを示す大会となった。鳥谷が不在となる来シーズンは1軍定着への最大のチャンス、この大会の経験を生かし大きく育ってもらいたい。 そのほかの選手では牧原大成(ソフトバンク)と辻東倫(巨人)のプレーが目を引いた。牧原はウエスタンリーグ首位打者の実力を存分に発揮し、今大会の打率も.455。4盗塁のスピードに加え、難しいグラウンド状態をものともしないショートの守備の安定感も光っていた。選手層の厚いソフトバンクではなかなかチャンスをつかむことが難しいだろうが、2軍レベルの選手ではないこと疑う余地がない。辻は代打での出場がメインだったが代打での2安打を含む13打数4安打。打撃でも結果を残したが、最も評価したいのは守備だ。スタメンで出場した15日の台湾戦では本職のショートではなくサードで出場し、好守を連発した。グラブさばきの巧みさは卓越したものがあり、この守備力があれば来シーズン1軍でプレーする機会も得られるのではないだろうか。