メルセデス「AMG」のスゴさの本質を知ってる? “憧れの記号”の歴史を追いかける
「メルセデス AMG」は、メルセデス・ベンツのなかでも、ハイパフォーマンスモデルのみが冠することができるブランド。その歴史は1960年代に遡る。 「AMG」はハンス・ヴェルナー・アウフレヒトとハルト・メルヒャーという2人のエンジニアの頭文字、アウフレヒトのAと、メルヒャーのMから取られている。最後のGは、アウフレヒトが育ったドイツ南部の小さな町、グローザスバッハを表す。
2人はもともと、ダイムラー・ベンツの開発部門でレース用エンジンの開発に取り組んでいた。 しかし、1955年を最後にダイムラー・ベンツはモータースポーツから撤退。仕方なくふたりは手弁当でエンジン開発の技術を磨いていく。 1965年、彼らの同僚がそのエンジンを積んだ「300SE」でドイツツーリングカー選手権に出場し、10回の勝利を収める。評価を上げた彼らはダイムラー・ベンツを退社し、1967年にAMGを立ち上げた。 最初の大きなターニングポイントは、1971年のスパ・フランコルシャン24時間レースだ。AMGがチューニングしたマシン「AMG Mercedes 300 SEL 6.8」が、アルファロメオやフォードを相手にクラス優勝。総合でも2位を獲得した。 この車は、大型の4ドアセダンだ。それが軽量のスーパースポーツを組み伏せた。世界にAMGの実力を知らしめた瞬間だった。
世界が絶賛するエンジン作りのプロとして
1970年代に入ってもAMGは、多くのレースに出場するメルセデス・ベンツのマシンにエンジンを供給。その一方で、市販されているメルセデス・ベンツ車のチューニングも手掛けるようになった。 1984年には、4バルブシリンダーヘッドを搭載したエンジンを開発し、名実ともにエンジンメーカーへと進化。その2年後、当時のメルセデス・ベンツが持つ最大の5.6L V8エンジンに4バルブシリンダーヘッドを独自に取り付け、W124型のEクラスに搭載。 1986年に「AMG 300 E 5.6」が最高速度303km/hを記録し、アメリカで「The Hammer」というあだ名を付けられ大絶賛された。 ちなみに、バブル絶頂期の1989年には三菱自動車からAMGエンジンを搭載した『ギャランAMG』が発売されたこともある。