フォルクスワーゲンらしい「バランス」の高さが◎ ID.7 ベスト・サルーン賞 AUTOCARアワード2024
フォルクスワーゲンらしさを感じ取れる
2024年のベスト・ハイブリッド賞はBMW 5シリーズに与えられたが、サルーンとしてのベストは、フォルクスワーゲンID.7。他社に先行してバッテリーEVを投入した同社は、販売に苦労する中で、実用性の高くバランスに長けた上級サルーンを完成させた。 【写真】ベスト・パフォーマンス賞:ヒョンデ・アイオニック5 N ベスト・サルーン賞:フォルクスワーゲンID.7 (135枚) ID.7は、落ち着いた雰囲気の4ドアファストバックで、新しいモデルとしては珍しくフロントマスクのデザインも大人しい。スタイリングは控えめで、上品と表現しても大げさではないだろう。 動力性能も控えめといえ、特に速いわけではない。航続距離や急速充電能力も、クラスの新基準を打ち立てたほどではない。むしろ、スペック的には目立つ部分がないといえる。かといって、過小評価すべきサルーンではない。 ID.7は、フォルクスワーゲン・ブランドが伝統的に築き上げてきた強みを、しっかり宿している。ここ数年で1番といっていいほど。指摘するほどの弱点はなく、運転すれば信頼感を抱ける。ドライバーへ対する要求は小さく、乗り心地や操縦性は優秀だ。
お手頃で実用的 想像以上に運転も楽しめる
直感的に操れ、どんな自動車移動も安楽にこなせるだろう。人影のない公道で少しスピードを出してみれば、後輪駆動らしい落ち着いたバランスと反応で、想像以上に運転を楽しめることにも気づける。 しかも、英国価格は5万1000ポンド(約1020万円)からと、現実的な範囲にある。もし、BMW i5やメルセデス・ベンツEQEに興味はあるけれど、価格が高すぎるとお感じなら。人工サウンドは悪くないけれど、もう少し実用性が欲しいとお考えなら。 ぜひ、フォルクスワーゲンのディーラーで、ID.7を試乗してみて欲しい。素晴らしさに共感できるはず。
イリヤ・バプラート(執筆) 中嶋健治(翻訳)