一番使いやすい地図アプリって何? Apple Maps、Google Map、Wazeの進化から考える
今や生活に欠かせない地図アプリ。みなさんも、Google MapやAppleのMap、Wazeなどを使っていると思います。 ちなみに、2018年にStatistaが調べたところによると、もっともユーザー数が多いのがダントツでGoogle Map、2位がWaze、 3位が近差でApple Mapsなのだとか。 この状況を打破しようとしているのか、Apple MapsはiOS 14.5から「事故や鼠取りを報告する機能」を搭載する予定だそう。 つまり、ドライバー間で生の情報を更新しあえるWazeに近づくようなのです。 この情報を伝えたMacRumorsによると、新機能はスワイプアップメニューの「Report」から使えるようになるそう。事故や鼠取り、ハザードといったアイコンをタップしたり、Siriに「Siri、事故が起きたよ」と話しかると、即座に通知が表示されるのだとか。Apple CarPlayを使用中にのみ、そちらにも連携可能になるそうです。 同様の機能はGoogle Mapにもあり、iOSには2019年から対応しています。Google傘下のWazeは、ドライバーによるリアルタイムレポート機能が特徴のひとつで、より活発にやりとりされています。 では、新たにApple Mapsが同様の機能を入れたところで、シェアを伸ばすことはできるのでしょうか。 ■Mapアプリは国によって強みが違う 筆者は6カ国に住み、車を運転してきました。土地勘がないのでMapアプリに頼ることになるわけですが、そこで国ごとにMapの強みが異なることに気づきました。 例えば、私はアメリカ、カナダ、オーストラリアではGoogle MapとApple Mapsをメインで使っていました。情報も正確ですし、徒歩や公共交通機関を使う前提で地図表示できるのもありがたい。オフラインで使えるのも利点です。 一方、東南アジア、特にマレーシアやフィリピンではWaze一択。東南アジア特有の、複雑な道路事情に対応しきれていないのか、Google MapやApple Mapsでは目的場所に連れて行ってもらうことができません。 以前、Google Mapで友人宅を目指しましたが、住所すら特定できないのか、まったく異なる場所に連れて行かれたことがありました。商業施設など、アイコンとなる建物なら連れて行ってもらえる可能性もあるのかもしれませんが、住宅地の中の一軒家、しかも途中の道が舗装すらされていない場合は認識できないのかもしれません。 フィリピンの田舎に至っては、Apple Mapsでは道路すら認識されておらず、エリアが無いものとして扱われている場合もあります。 現地の友人いわく、Google MapよりWazeの方が精度が高く、東南アジアの道を走るならWazeを使うべし、とのこと。同じGoogleの運営するMapアプリでも顕著な違いが出るのは、Wazeは早い段階からユーザーが道路や家のナンバーといった情報を更新できていたからではないでしょうか。 目まぐるしいスピードで開発が進み、半年もすれば新たな道ができて景色が変わる新興国では、ユーザーからの情報なくして更新が間に合いません。 今はGoogle Mapもユーザーが店などの情報を更新できるようになりましたが、すでにWazeが定着して久しいエリアでは、新機能を追加したところで成長は難しいかもしれません。 ■日本で一番使いやすいMapアプリは? 個人的にはGoogle Mapだと思います。 以前は、マップを頼りに歩いていても、GPSが動く速度が遅すぎて方向や方角を見失ってしまうことがありました。しかし、2019年に実装された「ARナビ」によって、道路の上に進行方向が表示されるようになり、ナビを使いながらも道に迷うということはほぼなくなりました。 Wazeは、地図機能としては問題なく使えますが、日本国内のユーザー数が著しく低いため、最大の特徴であり利点である「ユーザーが道路状況を報告し合う」という恩恵にあやかることができません。本来ならほかのユーザーアイコンが道路上に表示されるのですが、関東エリアでみてみてもユーザーを見つけることができなかったので、利用している人は極端に少ないのではないでしょうか。 Apple Mapsは、必要な情報や機能は押さえてあるものの、Google Mapほど徒歩移動の人に優しいというわけではない印象を持っています。しかし、わかりやすい大通りを選択する傾向があるGoogle Mapに比べて、Apple Mapsは徒歩を選択すると小径を使いながらも最短ルートを表示してくれる確率が高いように感じました。 車を運転する上ではApple MapsもGoogle Mapもそれほど違いはなさそうなので、好みの問題になってくるのではないでしょうか。 ■拡充するMap機能に期待するもの どのMapアプリにせよ、頻繁にアップデートされ、利便性が高くなってきています。常に目的地までの最短ルートが表示され、渋滞を回避することができるようになりました。 しかし、便利になる一方で、ユーザーは道を覚える楽しみや、迷った先で新発見をする興奮を失いつつあるのは事実です。 筆者は、いつの日か、Mapアプリに散歩コース提案機能が実装されることを夢みています。好きなショップの傾向を解析し、自宅から30分、60分、90分毎の最適な散歩コースを表示するような機能です。スマートウォッチと連動していたら、なお良さそう。 コロナ禍で外出機会が減り、Mapアプリを使うこともほぼなくなりました。新たなMapアプリの使い方として、運動不足解消や気分転換を目的にそういった機能があってもいいのではないでしょうか。 〈Source〉 https://mashable.com/article/apple-maps-report-incidents/
中川真知子