ピルロ率いるユヴェントスの苦戦理由は?名将ファビオ・カペッロが一発回答「原因は大きく分けて2つ」
【インタビュー】名将ファビオ・カペッロは古巣ユーヴェの監督人事をチクリ
ユヴェントスが厳しい戦いを強いられている。17試合を終了した現時点(※インタビューは1月18日のインテル戦後に実施)で、9勝6分け2敗の勝ち点33。消化試合が1つ多い首位、ミランと勝ち点10差の5位だ。 私はいま解説者を務めているから、よく聞かれるんだ。「王者ユーヴェに何が起こっているのか」とね。 低迷の理由はシンプルかつ明確。大きく分けて2つある。1つは、クラブが打ち出した方針そのものが原因だ。 昨シーズンの9連覇達成は周知のとおり。だが終盤戦はとにかく安定感に欠けたため、優勝監督のマウリツィオ・サッリを解任した。 主力の高齢化が進み、世代交代の必要性も叫ばれていた。要するに、すべてにおいて変革が必要な状況だったわけだ。 勝ち続けながら、チームの大改革を推し進める。指揮官にとって、これほど難しいミッションはない。 その大役を任されたのが、よりによって監督未経験のアンドレア・ピルロ。クラブのその判断こそが、低迷を招く発端になった。
王者の考えはもはや通用しない
当然、アンドレア自身も問題を理解した上で契約書にサインしたはず。実際、前任者のサッリとはまったく違う戦術プランを立て、DFジャンルカ・フラボッタやMFウェストン・マッケニーといった若手を積極的に起用している。 ただ改革があまりにも大がかりで、シーズンの半分近くを消化してもなお、アンドレアはいまだベスト布陣さえも描けていない様子だ。 結果、攻守のバランスをまったく見出せていないのが現状。これでは安定した戦いは望めない。 アンドレアに同情する点は多々ある。コロナ禍の影響で、昨シーズン終了から今シーズン開幕までのスパンが非常に短かったことが1つ。条件はどのチームも同じ、そう言われれば元も子もないが、アンドレアのような新米監督にとってこれは大きなハンデだったはずだ。 戦術面に大きくメスを入れたくても、開幕前にそれを落とし込むだけの時間がほとんどなかった。シーズンに突入してからも連戦続きで、トレーニングに割ける時間はごく限られている。 これではチームに新戦術が浸透するはずがない。そもそも私の目にはアンドレアが各選手の能力や特徴を完全に掴み切れていないようにも映る。 どの布陣で臨むのがベストか。いまのユーヴェは、その答えを見つけられずにいる。 一部のメディアは、「クリスティアーノ・ロナウド、フェデリコ・キエーザ、パウロ・ディバラ、デヤン・クルセフスキの同時起用は可能か?」と議論している。 彼らはみな攻撃的な選手で、ポテンシャルはチーム内でトップクラスだ。その4選手の力をどう最大限に引き出すか。同時起用になかなか踏み切れないアンドレアの采配に疑問を呈しているのだろう。 私からすれば、そんな議論はナンセンス。なぜなら選手のチョイスは、対戦相手次第で変わるからだ。 「われわれはユーヴェ。相手のことなど興味がない」 そんな王者の考えはもはや通用しない。 アンドレアを含めた現場スタッフは、対戦相手の分析をさらにしっかりと行う必要がある。その上でピッチに送り込む11人を決めるべきだ。