静岡・伊東で味わう、極上の漁師飯「うずわめし」。
調理工程も味付けもシンプル、魚本来のおいしさを引き出せる漁師飯は魚料理の真髄。
シンプルだからこそ味が生きる漁師飯。
「海風が最高に気持ちいいですね」。静岡県が誇る港町、伊東の駅に降り立ったフードスタイリストのダンノマリコさん。12年ほど前から島を中心に漁港巡りを始め、各地の“漁師飯”を探求してきた。郷土料理に興味をもつ中で、魚を知りつくした漁師が作る、地域に根差した料理を知りたいと思うようになった。漁師飯に魅せられた大きな理由は、魚のおいしさを最大限に引き出す調理法だった。
「漁港の近くの地域の郷土料理は調理法も味付けもシンプル。だからこそ魚本来の味わいが最大限に生かされていて、力強くて繊細なうまみが伝わってくる。手軽なのにおいしくて、知れば知るほど魚料理が好きになりました」
そんなダンノさんが気になっているのが伊東でしか食べられないという漁師飯「うずわめし」。伊東でも2軒の店でしか味わえないと聞いて、早速現地まで足を運んだのだった。
幻の漁師飯・伊東のうずわめしを初体験!
「うずわとはマルソウダガツオのこと。この辺では大量に水揚げされますが、足が早いので鮮度が命。すぐ食べ切らないといけないので家庭でも敬遠される魚なんです」とは海鮮料理店『まるたか』と『まるげん』を営む徳島康生さん。
ある時、漁師宅で生のうずわを青唐辛子と一緒に叩いた漁師飯を食べて仰天。多くの人に食べてほしいとメニュー展開した。 面白いのは「たたきをそのまま」「ご飯のっけ」「だし茶漬け」という3段階のアレンジで違った風味を楽しめる点だ。
「血合いが多くて臭みがあるかと思ったのですが、全然! 普段食べているカツオとは違うきめ細かい肉質で、パンチのあるうまみが濃縮されたおいしさ。ソウダガツオは出汁用という印象でしたが、〝食べる出汁〟という感じ。これは食べないともったいない!」とダンノさん。また新しい魚ワールドの扉が開いた瞬間だった。
〈うずわめしの作り方〉
すぐに鮮度が落ちてしまううずわは、とにかく新鮮なうちに捌いて調理するのが鉄則。包丁で粘りが出るまで叩いたら、みじん切りにした青唐辛子を加えて、さらに叩く。塩などの調味料を一切加えない超シンプルな調理法。