【第93回センバツ出場校の指導法】健大高崎 Part3 思い切りの良いスイングを獲得するための段階的指導
第93回センバツに出場する健大高崎で、新3年生に下級生のころから打撃指導を行ってきた赤堀佳敬コーチによる段階的指導を紹介する。 【画像】健大高崎の打撃基礎トレーニング2 メディシンボールトレーニング[軸&割れ]はこちら!
新3年生とは入学時から昨年の甲子園交流試合が終わるまで、バッティングを中心とした取り組みを一緒に行ってきました。基本的には盛岡大付(岩手)のコーチ時代に関口清治監督に教わったことがベースです。ルーツをたどれば現在、明秀日立(茨城)を指導する金澤成奉監督の理論に基づいて指導しています。 「飛距離を伸ばす」「強い打球を打つ」というチームで掲げる打撃の目的のためには三振を恐れず力強いスイングをすることが前提となります。そのため、1年生時の試合では結果にはこだわりつつも、スイングの技術的なポイントを押さえた上で、自分のタイミングでフルスイングすることを優先順位のトップ事項としていました。もちろん、三振もフライアウトもOK です。 また、その中では全球打ちにいくことを求めました。投手に同調しながらも打者主動で仕掛ける感覚を持ち、すべての球を打ちにいきながらボール球を見逃します。球速140キロとすれば、投手のリリースから捕手に到達するまでの時間は0.4秒程度であり、打者の振り出しからインパクトまでは速くて0.2秒ほどと言われます。コンマ数秒の勝負で、3割成功すれば評価される打撃において、タイミングは非常に重要ですから、打席では1球たりとも疎かにはできないと考えています。 「低めを振らない」ことも打撃で大事にしているテーマです。全球打ちにいくことを指示しているので、ほとんどの選手がバットが止まらずそのまま手を出してしまいますが、ただそれは失敗ではなく、できるようになるために絶対に必要な過程です。このとき、低めを見逃し三振することはOKとし、低めにバットが止まるようになったことを成長ととらえるようにします。そうした線引きをするのは、低めを振ったことも、見逃したこともとがめていると、選手は手詰まりになってしまうからです。そうして2年生になるころには、打ちにいく中で低めのボールに対してはバットが止まるようになってきました。