日本株マーケットアナリストだからこそ個人にお勧めしたい投資法
筆者は日本株のマーケットアナリストという仕事をしています。そのため日本市場の見通しや注目銘柄などを解説する機会が多いのですが、今回は、そんな私だからこそお勧めしたい投資法を紹介させてください。 【図表】S&P500とTOPIX,42年間でリターンの差はどれくらい?
日本と米国の指数比較からわかること
早速ですが、表をご覧ください。米国の代表的な株価指数であるS&P500と日本のTOPIXの年毎パフォーマンスを1980年から2021年までの42年間比較したものです。 米国の株価指数といえばNYダウ平均を思い浮かべる方が多いと思いますが、ダウ平均の構成銘柄数はわずか30と非常に少ないため、米国全体のパフォーマンスを計る際にはS&P500が多く用いられます。日本も同様に知名度は日経平均の方が圧倒的に高いですが、銘柄や寄与度に偏りがあるため比較にはTOPIXを使っています。 表を集計すると、42年間でS&P500の年間リターンがTOPIXを上回ったのが28回と約7割の勝率です。さらに、S&P500の年間リターンがTOPIXを上回ったら勝ち/下回ったら負けとして年代別に集計すると以下の通りです。 1980年代:3勝10敗 1990年代:9勝1敗 2000年代:7勝3敗 2010年代:7勝3敗 2020年代:2勝0敗 日本がいわゆるバブル景気にあった1980年代は、TOPIXが勝ち越していますが、それ以降の期間は圧倒的にS&P500のリターンが上回っていることが確認できたのではないでしょうか。 さらに1979年末を100として両指数をグラフにすると以下のように圧倒的な差がつきます。 何が言いたいかというと、ぜひ資産運用に米国株への投資を取り入れられてはいかがかということです。もちろん過去のパフォーマンスが良かったからといって将来のパフォーマンスが良いとは限らないのですが、米国がこの先も長期的に良いパフォーマンスを達成する可能性は高いだろうと筆者は考えています。
日本株アナリストが米国株を推す理由
その理由は大きく3つあります。 1つ目は、米国は世界経済の圧倒的な中心であるため、情報やマネー・人・技術は米国に集まり、あらゆるイノベーションは米国で起きることが多いこと。2つ目は、米国企業はグローバル展開を行なっている企業が非常に多く、世界経済全体の成長の恩恵を受けやすいこと。そして3つ目は、金融政策や財政政策などの運営が正に非常にハイレベルな学者や有識者などにより運営されていることです。 1つ目と2つ目は投資をされたことがない方でも実感を持ちやすいのではないでしょうか。アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、フェイスブック、ネットフリックス、インテル、IBM、マクドナルド、P&G、ジョンソンアンドジョンソン、コカコーラ、ナイキ…。枚挙にいとまがないほど我々の生活の周りには米国企業のサービスで溢れています。 3つ目はイメージしづらいと思いますが、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の構成メンバーには金融政策のスペシャリストが非常に多いです。リーマンショック発生時にFRB議長だったバーナンキ氏やその後を引き継いだイエレン氏は、金融政策や労働市場を研究していた世界トップレベルの学者です。イエレン氏はFRB議長を退任した後に米国の財政政策の責任者である財務長官に就任し現在も務めています。 一昨年のコロナ・ショック以降も米国はまさにフルスロットルで財政支出や金融緩和を行い、全力で経済を下支えしました。そのおかげもあって、米国の株価指数は史上最高値を更新したのです。これらの理由から、資産形成のコアとして米国株への投資を検討することは決して無謀な話ではないと納得いただけるのではないでしょうか。