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ストイックに歩んだELLEGARDENの名盤『RIOT ON THE GRILL』

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OKMusic

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はELLEGARDENの『RIOT ON THE GRILL』を取り上げたい。随分と前になってしまうが、細美武士が立ち上げた新バンド、MONOEYESのライヴを拝見した。バンドというよりもアート・プロジェクトに近いthe HIATUSとの比較により、余計にシンプルさが強調されたような印象を受けたことは否めないが、「細美武士が速い曲に戻ってきた」と自身もMCで語っていた通り、ストレートなパンクロックが彼本来の資質であったことを再確認させられた。となると、やはり思い出すのはELLEGARDEN。邦楽ロックシーンに果敢に切り込んだ彼らの足跡を振り返ってみた。 ※本稿は2016年に掲載

ピュアな魂のままにシーンへ挑む

インディーズバンドのままであり続けながら邦楽シーンをけん引したELLEGARDEN は、PIZZA OF DEATH RECORDS主宰のHi-STANDARD、アルバム『MESSAGE』を280万枚以上売り上げたMONGOL800と並んで、邦楽史に名を残す偉大なバンドのひとつだ。CD不況と言われる最近でも、所謂メジャーレーベルに所属していないことで資本面、流通面でのアドバンテージが低くなることは間違いない。それゆえに…だろう。古今東西のビッグヒット作品、大ブレイクアーティストのほとんどはメジャーレーベルから生まれているし、ある時期まで“インディーズで名を挙げて、鳴り物入りのメジャーデビュー”は定番化していた感じさえある。だが、ELLEGARDEN はメジャー契約のないまま、幕張メッセでのワンマンライヴで約3万人を動員し、5thアルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』をチャート1位に叩き込んだ。これらは偉業と呼んでいいであろう。ライヴハウスにこだわり続けたバンドなだけに(少なくとも当時は)絶対に実現しなかっただろうが、最盛期だった2007年頃なら東京ドームを埋められたのではないかと思われるほど、彼らへの支持は圧倒的だった。 派手なタイアップや芸能マスコミを賑わすようなネタはまったくなかった。やることと言えば、ひたすらライヴと音源制作。初期にはライヴで地方を訪れる度にその土地のラジオ番組へ出演し、レコード店を廻り、タウン誌の取材を積極的に受けてきた。地味と言えば地味である。しかし、これは想像だが、良くも悪くも当時のELLEGARDENと、彼らのスタッフは、それしかやれることがなかったのだと思う。インディーズレーベルゆえに、マネジメントもライヴ制作も生真面目に、実直にやれることをやっていたのだろう。それが奏功してELLEGARDENがシーンに浸透していった…と言いたいところだが、おそらくそこには狡猾なプロモーション戦略などはなかったとも筆者は想像する。ELLEGARDENというバンド、そのメンバーたちが持っていた熱。その熱が純粋にスタッフに移り、さらに媒体やバイヤー、そしてリスナーに移っていったのだと思う。音楽業界ですら、やれマーケティングだ、やれマーチャンダイジングだと言われていた頃に、彼らは実直…いや、あえて愚直と言いたいような方法論で活動し、支持を拡大したのだ。それはまさに《一滴の水で泳ぐ 勝算みたいなもの》(M5「Missing」)だったわけだが、それでも彼らは見事に泳ぎ切った。 当時、細美武士(Vo&Gu)に話を聞いた時、映画『ルパン三世 カリオストロの城』のラストシーンで、クラリスのもとを去るルパンたちに向かって庭師の爺さんが言う台詞になぞらえて、「“なんと気持ちのいい連中だろう”と言われるようなバンドになりたい」と言っていたことを思い出す。また、これはELLEGARDENのファンの間では有名なトピックだろうが、彼は漫画『ワンピース』の大ファン。劇中の有名台詞を引用して、「俺も“海賊王”になりたいんですよ」と清々しい笑顔を見せてくれたこともあった。 この辺りからも推測できるように、ELLEGARDENというバンドは、「いつか武道館のステージに立ちたい」とか「紅白歌合戦に出たい」といったような具体的な目標を持つバンドではなかったし、おそらく「シーンを変えよう」みたいな気持ちもなかったと思う。自分たちがカッコ良いと思う音源を作り、それを聴いてもらったり、ライヴで演奏してみんなで騒いだりすること──それしかなかったのである。逡巡するような場面もあっただろうが、彼らはそのバンドとしての姿勢を固持し続けようとした。《たった一つのことが今を迷わせてるんだ/数え切れないほど無くしてまた拾い集めりゃいいさ/遠回りする度に見えてきたこともあって/早く着くことが全てと僕には思えなかった》(3rdシングル「ジターバグ」)にその姿を垣間見ることができる。

最終更新:
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