〝闇バイト撲滅〟高市早苗氏が新たな「潜入捜査」導入へ 自民が緊急提言案 架空身分での組織接触可能にする制度要望
深刻化する「闇バイト」による強盗事件などの撲滅へ、高市早苗前経済安保相が動きを加速している。高市氏が会長を務める自民党「治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」は5日、警察官が架空の身分をつくって組織に接触する新たな「潜入捜査」実現へ提言を取りまとめたのだ。政府側も法整備など本格検討に乗り出す。欧米各国では、テロやスパイ対策も含めて活用されている捜査手段だが、一部で〝忌避〟の論調が盛んな日本で実現するのか。 【写真】高市氏、総裁選で「靖国参拝をいうから負けたと叱られる」 ■国民の命や財産を守る 「国民の命や財産を守る。少しでも安心感を持ってもらうことに資する緊急提言になった」 高市氏は5日、調査会でこうあいさつした。 注目の提言では、警察官が身分を秘匿して闇バイトに応募して募集者に接触する捜査手法の導入へ向け、環境整備などを求めた。 背景には、凶悪な闇バイト事件が次々と発生するなか、捜査に立ちはだかる〝壁〟を解消する狙いがある。闇バイトの連絡には秘匿性の高いアプリが使われているため、事件の実行役を摘発してもグループ全体の実態解明が困難で、指示役らを追跡しにくいという課題があった。 さらに提言では、警察官が身分を仮装して犯人側に接触したり、捜査で偽の身分証を使ったりする際、法律に違反しない制度をつくるよう関係省庁に求める。また、こうした捜査での捜査員の安全を確保するガイドライン策定も要望している。 通信アプリサービスの提供事業者には、違法性や有害性がある情報の削除を求める。順守しない場合には、サービス提供の禁止を含めた対策を検討すべきとした。交流サイト(SNS)などで求人を行う際、身元の明記を義務付けることも提言している。 高市氏は5日、自身のXに「あくまでも緊急提言で極力すぐに実行して頂ける内容に絞り込みました」と経緯を説明した。今後は自民党内の手続きを経て、提言は石破茂首相に届けられるという。 政府関係者によると、新手法については各省庁で本格検討が始まっているという。 今回の提言をどう見るか。