<種崎敦美>「ダイの大冒険」ダイ役の葛藤 “仲間”に助けられ
「大人になって読み返すと、人間ドラマがしっかりしていて、恋愛もリアルに描かれていることに気付きました。片思いが多いですけど(笑い)。魔王軍が会社みたいで、中間管理職は大変だな……と感じたり」
種崎さんが特に好きだったキャラクターは魔法使いのポップだ。元々は臆病者だったが、大きく成長して仲間のために戦い、ダイを支えることになる。
「今も大好きで、子供の頃から変わっていないです。『ダイの大冒険』はポップの成長物語でもありますし。成長した後のギャップがいいですよね。ギャップに弱いんです。子供の頃もそう思っていたのかな?」
◇“ポップ”豊永利行に助けられた
今年5月に「ダイの大冒険」の声優陣が発表会で明かされた際、種崎さんが涙を流す場面があったのが印象的だった。子供の頃から好きだった特別な作品、人気作ということもあり、プレッシャーが大きかったという。
「出演が決まった時は、うれしい!どうしよう!?という波が交互にやってきました。家族がみんなで見ていたので、家族も喜んでくれる。私みたいにダイが好きな人がたくさんいる……とプレッシャーが押し寄せてきました。小さい頃から大好きな作品で、そんな作品に出演できることなんて人生でそうそうありません。自分が好きだからこそ、ダイが好きな人がたくさんいることも分かります。自分は、ダイを演じさせていただくことになりましたが、もし自分が大好きな作品の新作アニメが作られることになって、自分が出ていなかったら……と考えてしまいます。仮にそういう状況だったら、その自分をがっかりさせたくないんです」
アフレコが始まっても大きなプレッシャーがあったという。周囲にはプレッシャーを悟られないようにしていたが、アフレコが進むにつれ、少しずつ違和感が生まれてきた。
「最初は『作品に向き合うぞ!』『一生懸命やるぞ!』という気持ちが強かったのですが、段々と『このままでいいのか?』『ふわふわしていないか?』という葛藤が自分の中で生まれてきたんです。自分の中で心の場所が変わったというか……」