MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
テストを終えて、小椋選手は「楽しかったのももちろんあるし、大変だったのももちろんあるし。いろいろでしたね」と振り返っています。350km/hを超えるスピードで走るモンスターマシン(この日の小椋選手のトップスピードは347.2km/hでした)の印象について「こんな感じなんだ、と思いました」と、淡々としたいつもの口調で語っていました。 MotoGPマシンにはライドハイトデバイスを使うタイミングなどを含め、操作しなければならないボタンが多くあります。ただ、今回は「お前はこっちに集中しなくていいぞ」と走らせてもらったとのこと。小椋選手自身も明確な達成目標を持たず、「そのとき」のマシンのフィーリングを追い続けて走っていたそうです。 小椋選手は、現在の課題について、こう語っています。 「今のMotoGPマシンの理解度は、100で言ったら、10、20じゃないでしょうか」 「コーナーの進入もまだだし、タイヤやバイクもわかりきっていないことだらけです。最後のもうちょっと、というところにまだ踏み込めていないところもありますし。コーナーの立ち上がりでもバイクをあまり暴れさせないで(立ち上がる)、とか、やることがいっぱいあります。早く学んで、全てを良くしていくしかないですね」 「(その中での最優先事項は)コーナーの進入、ブレーキを始めたところから、アクセルを触るまでのところの方が、早めにやらなければいけないことだと思います。そこが決まってこないと、いろいろとうまく回らないと思うので」
この日走った中でも最多となる86周を走りましたが、ひどい疲れなどはなかったそうです。 「どうだ、疲れたか、とは聞かれましたけど、今日の86周で、一番長いスティントでも11周でした。この中で問題があったわけではないです。もちろん、前のカテゴリー(Moto2クラス)にいたときよりはもうちょっと(トレーニングを)やりますけどね。大きくは変えないと思います」 MotoGPマシンを初めて走り終えた小椋選手には、最高峰クラスにたどり着いた、そしてそのマシンを走らせた興奮などはあまり見られませんでした。全く無かったというわけではないのかもしれませんが、むしろ、囲み取材で答えているときも、少し前まで乗っていたMotoGPマシンの理解を続け、「どう改善をしていこうか」と考えを巡らせているように見えました。いつものレースウイークのように、です。 小椋選手が次にアプリリアのMotoGPマシン「RS-GP」に乗る機会は、2025年2月上旬にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行なわれるテストとなります。ただ、ルーキーはシェイクダウンテストから参加することができるため、レギュラーライダーよりも3日間、多く走ることができます。 オフシーズン中、MotoGPマシンに乗れずとも、小椋選手はこの日に得たインフォメーションをもとに、テストに向けて確実に準備をしてくるでしょう。次にMotoGPマシンに乗るとき、どんなパフォーマンスを見せるのでしょうか。
伊藤英里