シェアサミット2020開催、平井デジタル大臣がデジタル社会への決意表明、サントリー新浪社長「DXで地方がおもしろくなる」
西村経済再生担当大臣: 必要なのは多様性、柔軟性、スピード
基調セッションには、西村康稔・経済再生担当大臣とサントリーホールディングス社長の新浪剛史氏が出演し、日本経済のレジリエンスに必要なことについて議論を展開した。 西村大臣は、日本経済の現状について言及。「回復が遅いのは成長力が弱いため」としたうえで、アメリカのテスラの時価総額は約42.4兆円に対してトヨタは23.4兆円と紹介し、「日本でも、シェアリングエコノミーを含めて、成長を引っ張っていく新しい企業を生み出していくべき」と発言した。 そのうえで、ポストコロナで新しい社会を創っていくためには「女性、若者、外国人など多様な考え方を取り入れ、国際競争力を挙げていくことが必要ではないか」と提言。また、現代社会はサッカーのように場面が急激に変化することから、柔軟でスピーディーな意思決定が求められているとした。 そのような環境変化に対応し、日本の経済成長力を強めていくために、「政府として、デジタル、グリーン、人材に焦点を当てた新しい経済政策を作っていく」と強調した。
サントリー新浪社長: DXで地方がこれからおもしろくなる
新浪氏は「今まで日本はGDPを中心に経済を考えてきたが、これからはQOL (Quality of Life)が大切になってくる」と主張。特にコロナ禍で「心の幸せがいかに大切かが分かった」と続け、そのリード役としてシェアリングエコノミーの将来性に期待を寄せた。 また、デジタル化の必要性についても言及。「デジタルを活用すれば、地方でも経済規模にマッチしたことができる。たとえば、中小企業が集まってひとつの経済規模を形成する。中小企業は規模の経済がないから再編しなければいけないと言う人もいるが、それはデジタルが分かっていない人だ」と持論を展開した。 さらに、DXによって「地方がこれから大変おもしろくなる」と発言。コロナ禍は、これまで進まなかった東京一極集中打破のチャンスと捉え、国に対して地方移住者や移転企業への減税措置を求めた。 新浪氏の発言を受けて、西村大臣も「東京一極集中が日本の弱さだったが、これを機会に地方への分散を進めていく環境をつくっていく必要がある」と話し、デジタル化とともに地方での5Gなど最先端通信インフラの整備にも意欲を示した。 このほか、新浪氏は日本企業のDXへの投資についても触れ、「アメリカはデジタルやビックデータを使って新しいサービスを生み出す攻めの投資。一方、日本はコストカットにデジタルを使う守りの投資」と違いを示したうえで、日本では、変革の強いコミットメント、既存システムや縦割り組織の打破、ダイバシティの理解と受け入れ、中間管理職のマインドセット本格とリカレント教育、デジタル人材の採用と育成、他企業とのデータ連携、プラットフォームの組成が必要と強調した。
トラベルボイス編集部