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金沢拠点劇団と美大出身仮面作家タッグ ワークショップで手作り、上演で使用

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北國新聞社

 金沢市内を拠点に活動する「劇団アンゲルス」を主宰する岡井直道さん(73)と金沢美大出身の仮面作家、舘成樹(たちしげき)さん(72)が約半世紀ぶりにタッグを組む。団員や一般からの参加者が仮面を手作りし、劇を上演する。同年代の2人は大学時代、同じ演劇の舞台に立った縁がある。再び金沢に集結し、完成した劇を動画配信する予定で「それぞれが積み上げたものを生かし、新たな表現を探求したい」と意気込む。

 岡井さんは金大、舘さんは金沢美大で演劇に打ち込み、約50年前の合同公演で共演した。卒業後、岡井さんは東京の劇団に入って全国各地で公演を続けたが、24年前、病を患ったことを機に故郷に戻り「劇団アンゲルス」を旗揚げした。

 金沢美大で彫刻を学んだ舘さんは、東京でイベントなどのセットデザイナーとして働いてきた。「ライフワークを見つけたい」と約15年前、紙を用いた仮面の製法を編み出した。現在、東京と出身地の志賀町を行き来しながら展示会や演劇の舞台用に大小さまざまな仮面を作っている。

 劇団アンゲルスは、県の文化活動支援事業助成金を受け、著名な振付師らを講師に迎えて団員や一般向けにワークショップを開いてきた。今年度から舞台道具の作り方を学ぶ教室を開くことにし、岡井さんが古い知り合いである舘さんに協力を仰いだ。

 舘さんのワークショップは3回ほど予定し、夏ごろから、県内高校や公共施設で、参加者を募るチラシを配布し、参加者が自作した仮面を用いて、仏の作家サミュエル・ベケット作の「ゴドーを待ちながら」を上演する計画である。

 劇はゴドーを「待つ」2人の男がとりとめのない会話を続ける内容で、世界的に新型コロナウイルスがまん延する中、日常の回復を「待つ」現状について考え直せるよう岡井さんが演目を決めた。初めて公演を動画に収め、インターネット上で公開する予定である。

 岡井さんは舞台道具の専門家を育成する場が少ないとして「参加者の興味をかき立て、新しい才能が芽生えるきっかけになってほしい」と期待を込め、金沢美大OBの劇団の一員として現在も舞台に立つ舘さんは「仮面をかぶるだけでなく舞台空間を演習する装置としての使い方を模索したい」と構想を膨らませた。

北國新聞社