なぜ鹿島アントラーズはACL本大会出場権を逃したのか……背景に異常な過密日程
ブーイングを覚悟しながら、鹿島アントラーズの選手たちは試合後の挨拶へ向かった。4つのタイトルすべてを獲得する目標を掲げて船出した2020シーズン。最初の公式戦でまさかの黒星を喫し、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)本大会への出場権を逃した直後の光景だった。 冷たい雨が間断なく降り続く県立カシマサッカースタジアムへ駆けつけた、サポーターから降り注いできたのはブーイングではなく拍手だった。今シーズンから新たにキャプテンを拝命した、日本代表経験もある23歳のボランチ三竿健斗は、拍手に対して深々と頭を下げた。 「ブーイングされて当然の試合内容だったのに、そのように(サポーターへ)気を使わせてしまったことが本当に申し訳なくて」 一発勝負の形で28日に行われたACLプレーオフ。勝者が北京国安(中国)、FCソウル(韓国)、チェンライ・ユナイテッド(タイ)が待つグループEに入る一戦で、アントラーズは昨年5月まで本田圭佑が在籍したメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)に0-1で苦杯をなめさせられた。 放ったシュートは相手の約3倍となる17本。先発陣のなかで最古参となる27歳のMF土居聖真、新加入のMF和泉竜司(前名古屋グランパス)の一撃は相手キーパーに防がれ、逆に昨シーズンまで浦和レッズでプレーしたFWアンドリュー・ナバウトが後半9分に放ったそれは、ブロックに飛び込んだ新加入のDF奈良竜樹(前川崎フロンターレ)の足に当たってゴールネットを揺らした。 「典型的なサッカーの負け方というか、自分たちでまいた種ですね。あれだけボールを支配して、決定機を作っても決められないのは」 フル出場して攻撃陣をけん引した土居が悔しさを露にする。今シーズンから指揮を執る、ブラジル人のザーゴ監督が先発として送り出した11人のなかには、オフに加入した新戦力が6人も名前を連ねていた。準備期間が短かったのではないか、と問われた三竿はおもむろに首を横に振っている。 「それでも勝たなければいけないし、(準備期間の短さを)言い訳にするつもりもない」