和平合意をなぜ国民は拒否? 半世紀続くコロンビア内戦とは
11月13日には新たな和平合意発表
国民投票での否決を受けて、コロンビア政府とFARCは11月13日に新たな和平合意を発表しました。この中では先の合意内容のいくつかが修正され、FARCに保障されていた議会での議席確保が取り消された他、武装解除の後にFARC戦闘員が拘束されることや、麻薬取引に関わっていた者が処罰の対象になり得ることになりました。サントス大統領はこれを「最終合意」と呼んでいます。 しかし、国際的には支持されているとはいえ、この最終合意が多くのコロンビア国民に受け入れられるかは不透明です。その一方で、多くの国民の間にある処罰感情を前面に出せば、FARCが和平合意を拒絶することもあり得ます。こうしてみたとき、コロンビア和平の難しい局面は、今後とも続くものとみられるのです。
----------------------------------- ■六辻彰二(むつじ・しょうじ) 国際政治学者。博士(国際関係)。アフリカをメインフィールドに、幅広く国際政治を分析。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、東京女子大学などで教鞭をとる。著書に『世界の独裁者』(幻冬社)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『対立からわかる! 最新世界情勢』(成美堂出版)。その他、論文多数。Yahoo! ニュース個人オーサー。個人ウェブサイト