イケアオープン正式発表で交錯する歓迎と危機感 「ぜひ買い物を」中心市街地からはため息
スウェーデン家具大手イケアグループの日本法人、イケア・ジャパン(千葉県船橋市)が24日、前橋市の新店舗「イケア前橋(仮称)」の2024年開業を正式発表し、9年近く待ちわびていた県内消費者や近隣事業者からは歓迎の声が上がっている。一方で中心市街地の商店などは、商店街の空洞化が進みかねないと危機感を抱く。 イケア前橋の完成予想図
24日昼、「パワーモール前橋みなみ」(同市)のイケア予定地に隣接するコストコホールセール前橋倉庫店を訪れていた女性(46)=中之条町=は「なかなかできないので半信半疑だったけれど、発表されてよかった」と喜んだ。イケアの店舗を訪れたことはまだないというが「こんな近くにできるのなら、ぜひ買い物してみたい」と期待する。
栃木県栃木市から買い物に来ていた30代主婦は「コストコは栃木にもできたけど、イケアがあるならこちら(前橋)まで足を延ばすかも」。別の主婦も「これまではイケア新三郷(埼玉県三郷市)まで行っていたが大変だった。前橋にできればすごく身近になる」と笑顔で話した。
歓迎の声は同モール内で営業する事業者からも上がった。「パーネデリシアまえばし店」を運営するグンイチパン(伊勢崎市)の小此木正博社長(61)は「イケアのおかげでモール自体の集客力が上がる」と指摘。「県外からも大勢の来客が見込め、われわれの商品を多くの方に知ってもらえるチャンスになる」と意気込む。
郊外の大型ショッピングモールが活気づく一方で、中心市街地の商店からはため息が漏れる。ある商店街関係者は「どうこう言える立場ではないが、われわれにとってはプラスのニュースではない。郊外に人が流れてしまわないか心配だ」と打ち明ける。
山本龍市長は同日の定例会見で、開業のニュースを歓迎しつつも「郊外への商業集積に対し、まちなかの在り方をどう組み立てるかということも考えないといけない。前橋らしさをどう出してもらえるかイケア側とも意見交換していきたい」と述べた。