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新聞業界で一人勝ちのNYタイムズ、サブスクで1000万人突破視野

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Forbes JAPAN

トランプ大統領が繰り返し「捏造記事を連発している」と非難するニューヨーク・タイムズ(NYT)の株価は今年、30%以上も上昇している。 出版業界アナリストのダグ・アーサーによると、タイムズ紙の成功の秘密は、1992年から2017年まで同紙の発行人を務めたアーサー・サルツバーガー・ジュニア会長の3つの決断にあるという。 2009年の大不況の時期に、NYTはマンハッタンの本社ビル23階を不動産会社にセール・リースバック(sale-leaseback)し、2億2500万ドル(約237億円)を調達していた。セール・リースバックというのは不動産を売却すると同時に買い手と貸借契約を結んで利用を継続する事だが、契約条項には10年後に2億5000万ドルを支払えば物件を取り戻せるとの条項が盛り込まれていた。そして、NYTは2019年にその権利を行使した。 アーサーはこの物件の価値を約10億ドルと見積もっている。「彼らは1平方フィートあたり333ドルでオフィススペースを購入したことになるが、周辺の相場は1平方フィートあたり1500ドル以上だ。彼らはこの取引で保有資産の価値を5倍以上にした」と彼は分析する。 サルツバーガーのもう一つの功績は、他社より先にオンライン記事へのアクセスを有料化したことだ。しかし、当初はそのことで散々批判されていた。「誰もがニューヨーク・タイムズは狂っていて、失敗するだろうと思っていた」 しかし、NYTはその決定が正しかったことを証明した。同紙の有料購読者数は2011年の約39万人から、2020年には約570万人以上に膨らんだ。この調子で行けば2025年には1000万人を突破するかもしれない。 サルツバーガーはさらに、景気の低迷期にもニュースルームへの投資を続けた。「ワシントン・ポストやウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)以外の競合他社は、生き残るために編集部の人員を半分に減らしたが、NYTは記事の品質を保ち、人々にウェブサイトに来る理由を与えていた」とアーサーは指摘する。 アーサーはまた、サルツバーガーが1896年からNYTを支配しているオックス・サルツバーガー一族に、経営権を売却させなかったことを評価している。WSJの親会社であるダウ・ジョーンズなどの他の同族経営の出版社は近年、投資家からの圧力を受けて事業を売却していた。 今後10年でデジタル版2000万人突破へ NYTは、競合他社と比べるとはるかに財務的に良好な状態にある。6月28日時点でNYTは7億5670万ドルの現金及び現金同等物、有価証券を保有しており、無借金だった。 トランプからの攻撃は、同紙のビジネスに追い風を与えている。NYTは今年第2四半期に過去最高となる66万9000人のデジタル版購読者を新規で獲得した。6月末時点で同紙のデジタル版購読者数は570万人に達し、英語圏の新聞では最大となっている。 9月8日に、ニューヨーク・タイムズの新CEOに就任したメレディス・コピット・レビアンは、今後の10年で1億人が英語のデジタルニュースの購読者となり、NYTが市場の24%、つまり2400万人のデジタル版購読者を獲得すると予測している。 同紙が先日、トランプの脱税疑惑を報じたことで、サイトへのトラフィックはさらに伸びそうだ。

Jonathan Berr

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