「エキサイトバイク」が発売40周年! ウイリー、ターボ、コースデザインも自由自在! レースゲームの名作をプレイバック
1984年11月30日にハドソンが発売したファミリーコンピュータ用ソフト「エキサイトバイク」が、本日2024年11月30日で40周年を迎えた。 【画像】※Nintendo Switch Online版で撮影(以下同) 本作は、バイクを操作して規定のタイム(3位以内)よりも速い時間でゴールすればクリアとなる、モトクロスをモチーフにしたレースゲーム。ゲームモードはコースA、B2種類のコースがあり、コースAは単独走行、コースBはCPUのバイクとの競争になる。 以下、筆者が本作を夢中になって遊んでいた当時の記憶を元に、本作の面白さを改めて振り返ってみた。 ■ バイクに興味を持ち出す「お年頃」のハートを鷲づかみ 本作の存在を筆者が初めて知ったのは、確かテレビCMだったと記憶している。段差の激しいコース上をバイクが軽快に走り、時には豪快にジャンプするその映像を見て「カッコイイ!」と率直に思った。 おりしも、おませな友人の何人かはバイクに興味を持ち始めた時期でもあり、筆者と同様に本作を知ったバイク好きの友人が、しばしば本作を話題にするようになった(※余談になるが、バイク好きの友人の1人は、後にセガSG-1000版「ハングオンII」をバイクハンドルごと購入した)。やがて、とある友人が本作を買ったとの情報を耳にして、早速友人宅へと馳せ参じた。 初めてプレイしたときの印象は「やっぱりカッコイイ!」だった。ヘルメットとスーツに身を包んだライダーがまたがるバイクを、山あり谷ありのコースをただ走らせるだけでも楽しく、ジャンプ台から上空に向かって飛び出すことも、ウイリー走行も自由自在にできてしまう。当時の筆者はバイクに興味はなかったが、バイク好きの友人たちと同様にすぐに気に入った。 本作は「カッコイイ!」と同時に「難しい!」と思ったのも忘れられない。特に、ジャンプ後に着地する際は、バイクの向きを地面の傾斜に合わせる必要があり、向きが少しでも狂うとバイクはゴロゴロと音を立てて派手に転んでしまうからだ。しかも、コースに設置された障害物の種類が豊富なこともあり、それぞれの形状によってバイクの向きを調整するのが実に難しかった。 コースAの単独走行でも難しいのに、CPUのバイクが出現するコースBは、面白いけどさらに輪を掛けて難しい。CPUに進路を何度も塞がれたり、CPUが転倒したところに巻き込まれたりしてタイムロスを連発し、初めのうちは1コース目もなかなかクリアできなかった。 ■ 快感と恐怖が表裏一体! エンジンがうなりを上げるターボ走行 バイクはAボタンを押すとアクセルを踏み、Bボタンを押すとさらにスピードの速いターボ走行になる。ターボで走ると、エンジン音がより甲高く鳴り響き、いかにもアクセル全開で走っている気分にさせてくれるのも、筆者も友人たちも本作に夢中になった大きな要因だ。ただし、ターボを使用中はエンジンのTEMP(温度)メーターが急激に上がり、最大値まで上昇するとオーバーヒートし、しばらくの間バイクが走行不能となり、やはり大きなライムロスにつながるリスクが生じる。 TEMPが大きく上昇し、オーバーヒートの危険が近付くと「ブー!」と、ひときわ大きな警告音な鳴るが、タイムリミットが近付くと焦るあまり、危ないとわかっていてもついついターボを吹かし、オーバーヒートを起こしてしまう。それでもターボをとことん使用し、オーバーヒートになるギリギリを攻めながら走るのが実に楽しかった。 TEMPは、各コースの特定の位置にある「クールゾーン」を通過すると初期状態に戻る効果がある。なので、あらかじめクールゾーンの位置を覚えておくことが、攻略上の超重要ポイントとなる。ところがコースBを走行中は、先を走るCPUのバイクに邪魔され、クールゾーンを踏めないケースがしばしば起こる。せっかくクールゾーンを使った攻略プランを練っていたのに、CPUのせいでターボが使えなくなったときは、たまらなく悔しかった。 ■ エディット機能がもたらしたゴージャス感 プレイヤーが自由にコース作って遊べるエディット(デザイン)機能の存在も、本作の面白さを語るうえでは絶対に忘れられないポイントだ。 筆者も友人たちも、最初に誰が音頭を取ったかのは覚えていないが、本作を何日も遊んでいるうちに自然とデザイン機能を利用するようになった。誰かがその場の思い付きでデザインしたコースを、誰が一番速く走れるのかを競うルールを作り、みんなでよく遊んでいた。 デザイン機能自体は、ファミコンだけでも「ナッツ&ミルク」と「ロードランナー」が先に実装していたが、筆者が初めてデザイン機能に触れたのが本作だった。自分自身の手で、ステージをデザインして遊ぶ面白さを知るきっかけになったことも、本作の忘れられない思い出のひとつだ。 本作の定価は5,500円で、本作以前に発売されたソフトより1,000円も高かった(※最初期のソフトは、さらに安く3,800円だった)。なので、筆者の周囲で本作を持っていたのは、家が「お金持ち」の印象がある友人に限られていた印象が残っている。5,000円の「大台」を突破したのは「パッケージに、わざわざ『デザイン機能付き』と明記して、サイズもひと回り大きくしたからだよな。これじゃあ俺には買えないな……」と、子供心に納得していた。 これも余談になるが、筆者が本作のパッケージを最初に見たときに、同じ任天堂製のゲーム&ウオッチの初期型と、後に登場したモニターのサイズがより大きいワイドスクリーン型の違い(※前者の通常の定価は5,800円で、後者は6,000円)をふと思い出した。おもちゃ屋さんのショーケースに並んだゲーム&ウォッチのパッケージを見て、ワイドスクリーン型のゲームは当然ながらパッケージも大きく、いかにもゴージャスに見えたのだ。 そんな事情もあり、パッケージデザインもサイズも変わった「『エキサイトバイク』は高級品だなあ……」と思ったのは筆者だけであろうか? 本作はNintendo Switch Onlineで配信されているので、今でもプレイすることができる。Nintendo Switch Onlineでは、1988年に発売されたファミコンディスク用ソフト「VS.エキサイトバイク」と、2000年に発売されたNINTENDO64用ソフト「エキサイトバイク64」も配信中で、1984年に登場したアーケード版「エキサイトバイク」の移植版もハムスターから配信(※こちらはDL販売)されているので、これらのシリーズ作品と本作を比較しながら楽しむのも一興だろう。 (C)1984 Nintendo
GAME Watch,鴫原盛之