「エッセイの呪い、みたいなものがあって…」人気マンガ家が抱える“日常を描く上での葛藤”とは
『NANA』はクラスのギャルが読んでいたけど…『岡崎に捧ぐ』でデビューした山本さほが影響を受けた“意外な作品” から続く 【写真】この記事の写真を見る(4枚) 現在、文春オンラインで『きょうも厄日です』を好評連載中の山本さほ。幼なじみの親友との思い出を描いた自伝的作品『岡崎に捧ぐ』など、自分の身のまわりで起きた出来事をこれまで作品に描いてきたエッセイマンガ家である。 リアルな出来事や人間関係をテーマにしたエッセイマンガを描く上では、どんなことを心がけているのだろうか。そして、自身の「厄日」体質の原因とは……。前編に引き続いて聞いてみた。 ◆ ◆ ◆
『きょうも厄日です』ができるまで
――『きょうも厄日です』の連載開始までの経緯をお教えください。 山本 文春オンラインの編集部の方が『岡崎に捧ぐ』を読んでくれて、「読切を描いてもらえませんか」と声をかけてもらいました。ちょうど私は連載が終了した合間の時期だったので、「連載でもいいですよ」とお答えしました。 ――世間的に「文春」はちょっと怖いイメージですけど、そのあたりは気にしませんでした? 山本 ……まあ、そうですね(笑)。ただ私の作品は、その性質上、読んだ方から怒られる可能性もあるので、そういった対応に慣れていない出版社で連載するよりは安全かな、と。そういう心強さはありました。 ――内容的なリクエストはありましたか? 山本 「なんでもいいですよ」と言っていただきました(笑)。 ――では、ゲームに関するネタは「週刊ファミ通」(KADOKAWA)連載の『無慈悲な8bit』、日常系のネタは『きょうも厄日です』と住み分けているのは、山本さんのサジ加減なのでしょうか? 山本 そうですね。『きょうも厄日です』に絶対にゲームネタを描いてはいけないということはないんですけど、どちらかというと「人に言いたいけど言う場所がなかったこと」を描く場として使わせてもらっています。以前はイヤなことがあったときには、ブログにふざけた感じで面白おかしく書いたり、ツイッターにマンガをアップしたりしていました。