日置5人殺害きょう判決 死刑の適否判断 鹿児島地裁
2018年に日置市東市来町湯田の民家で男女5人が殺害された事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた近くの無職岩倉知広被告(41)の裁判員裁判は11日午後3時から、鹿児島地裁(岩田光生裁判長)で始まり、判決が言い渡される。検察側は死刑を求刑しており、裁判員が極刑の適否を含めた量刑をどう判断するか注目される。 【写真】鹿児島地裁
岩倉被告の起訴事実は、父親、祖母、伯母、伯母の姉、伯父の知人の計5人に対する殺人と、父親と祖母の死体遺棄の六つ。責任能力の程度が最大の争点となっている。 起訴前と後にそれぞれ精神鑑定した医師は「妄想性障害があった」との診断で一致したが、その程度や犯行への影響に関して見解が大きく分かれている。 検察側は、起訴後の鑑定を基に完全責任能力を主張する。1日の論告で死刑を適用するに当たって考慮すべき八つの事情について理由を説明し、「妄想性障害の影響などを最大限考慮しても、死刑回避の事情は存在しない」と述べた。 弁護側は、起訴前の鑑定を基に、六つの起訴事実全てで限定責任能力(心神耗弱)を主張。父親殺害は正当防衛が成立し、祖母殺害には死亡経過や殺意に争いがあるとする。3人殺害なども「心神耗弱により刑が減免されるべき」と無期懲役が相当としている。 鹿児島地裁の裁判員裁判で検察側が死刑を求刑したのは3例目。10年の鹿児島市夫婦殺害は無罪、12年の指宿市夫婦殺害では無期懲役が言い渡された。