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新型コロナ、人類はワクチンを手にすることができないのか?

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The Guardian

【 記者:Ian Sample】  新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチンは、世界の人々が通常の生活に戻るための近道と見られており、それが開発されることの重要性は非常に高い。しかし臨床試験がスタートし、製造契約がすでに締結されるなかにおいて、一部ではより慎重なスタンスが示され始めている。 ■ワクチン開発がうまくいかないケースとその理由  ワクチンの原理はシンプルだが、実用となるとそう簡単にはいかない。理想的なのは、感染および感染拡大を安全に阻止してくれるワクチンの開発だろう。しかし、これまでに開発されたものを見ると、簡単に実現できるものではないことが一目で分かる。  エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)を発症させるエイズウイルス(HIV)が科学者によって同定されたのは30年以上も前だが、ワクチンはいまだ存在していない。1943年に初めて見つかったデング熱を発症させるデングウイルスのワクチンは昨年、米国でようやく承認された。ワクチンに対する懸念が残る中での承認となり、事実、一部では感染症の悪化も見られた。これまでで最もスピーディーに開発されたワクチンは、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)用のものだ。それでも4年かかった。  コロナウイルスのワクチン開発は、過去にも行われていた。そのため、今回はゼロからの出発ではない。これまでにも多数の死者を伴うコロナウイルスの大流行が起きている。重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)では、感染症に対抗するためにワクチンの研究が進められた。しかしSARSは徐々に消え、MERSは中東地域に限定的だった。こうしたこともあり、どちらのワクチンも承認が下りることはなかった。しかし、こうした研究を通じて、これまでに分かっていることが、新型コロナウイルスのワクチンを開発するための手助けにはなるだろう。このウイルスについて学ぶべきことは、まだ山ほどある。  主な懸念事項は、免疫効果が長期にわたって得られないと考えられることだ。一般的なかぜの約4分の1は、ヒトコロナウイルスにより引き起こされる。しかしその免疫反応はあまりにも急速に弱まるため、感染が繰り返し起きてしまう。  コロナウイルスを長年研究している米アイオワ大学のスタンリー・パールマン博士は、「特に難しいのはそこだ」と話す。「重い感染症でない限り、自然感染では大した免疫が得られないということならば、ワクチンの場合はどうなのだろうか? 効果はあるのかもしれないが、私たちには分からない」  ウイルスの遺伝的安定性も重要だ。ウイルスの中には、インフルエンザのように目まぐるしく突然変異するものがあり、それに対応するためにはワクチンをその都度調整する必要がある。エイズのワクチンがまだ存在しないのもHIVのそのような変化が主な理由となっている。  新型コロナウイルスに関しては、今のところかなり安定しているように見える。しかしすべてのウイルス同様、突然変異が起きているのも事実だ。

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