大阪府・吉村知事が定例会見5月18日(全文5完)憲法9条の議論は避けて通れない
きちんと考えるべき時期に来ている
とりわけ、国際情勢の変化、ここが最も大きなポイントだろうというふうに思っています。ここ10年、20年で中国の国防力、これが防衛費だけ見ても日本の5倍ですから。4倍から5倍。物量においては、もう完全に自衛隊を超えているというような、さらに増強を図っていくと。第一列島線、第二列島線を超えて、覇権思想で進めていくということが現実に、さまざまな国際情勢、特に隣国が変化しているということは、当然最も大きな点だし、とりわけ今回ロシアがウクライナに侵略をしたと。そして、それは核兵器をちらつかせて、常任理事国が正面から国境を戦車で越えてくるということが、まさに現実として起こった。そこが日本の隣国でもあるという状況です。 北朝鮮は核兵器をもうすでに持っています。で、日本を火の海にすると堂々と言うような国家ですから、もうその中で日本国民の命をどう守っていくのか、領土・領空・領海をどう守っていくのかということについて、憲法9条の議論は避けて通れないと思いますし、それを党としてしっかりまとめ上げて国民の皆さんに提案をするということは必要なことだと思っています。 だから国際情勢が大きく現実が変わった、これを受け止めて、国民の命を守るために、領土・領海・領空を守るために、しっかりとした憲法の位置付けが必要だというのが大きく変わった点だと思っています。そういったことがなければいいんですけど、起きましたから。それに対してずっと下を向いて見て見ぬ振りをするのが果たして国政政党として正しいのかというと、そうではないと思いますので、どうやって平和を維持するのか、どうやって自由を維持するのか、どうやって国民の命を守るのか、侵略から守るのかということを、きちんと考えるべき時期に来ているということです。
核シェアリングの議論が周辺国の軍拡につながらないか
朝日新聞:じゃあ最後に1問だけ。その中で議論なんですけれども、その議論の内容が非常に大事だというふうに思っているんですが、吉村副代表、かねてから、ご自身は核シェアリングを必ずしも導入するというような結論では、議論はするべきだというお考え、ご説明いただいたと思います。 ただ、その核シェアリングの議論をすること自体が周辺国、中国、北朝鮮、ロシアが、軍拡や脅威、日本が脅威、軍拡をしようとしているというような誤った形で受け取り、相手国も核抑止力ないし軍備のさらなる強化に乗り出すというような安全保障のジレンマを引き起こす可能性も指摘されていると思います。それについてはどうお考えでしょうか。 吉村:それをやらなければ中国の軍備増強は止まるのか、あるいはロシアの残忍な侵攻が止まるのか。止まればいいんですけれども、現実にわれわれ、そういったことをやってこなかったわけです。やってこない前提の中でも隣国は、中国があれだけ一気に国防力を増し、核兵器も当然持ち、ミサイルも持ち、空母も持ち、もう日本の自衛隊をはるかに超える戦力を、物量としては戦力を持ち、そして北朝鮮は核兵器を保有するに至っていると、で、ロシアはこの状況というのが、日本が議論をしなければ止まるのかというと、そうでもない。 じゃあ日本がずっと思考停止の状態のまま、そっちがどんどん進んでいったときに、どういうことが起きるのかというと、圧倒的な軍事力の差ができたときに侵略を受ける可能性は当然あると。そのときに守れるんですかと。国民の命を守れるんですかと。領土・領海・領空を守れるんですか。もしくはもっとそうならないようにするためにも、一定の均衡力というのを保たないと、これは維持できないと、そういうふうに思っています。 なので、日本の諸国民の公正と信義を信頼すると、諸国民がそういう侵略なんて絶対しないというような想定ですけれども、そうじゃなくなってきているという現実の変化もまた、われわれは受け止めたくないけど受け止めなきゃいけないだろうというふうに思っています。なので、じゃあそれやらなければ日本はもう未来ずっと守られるのかというと、そうじゃあやっぱりないと思いますので、ここは真剣に議論はしなければならない、思考停止になってはならないというふうに思います。