母子家庭・中堅大卒から「上場企業の社長」になるまで。「非学歴エリート」としてのキャリアの軌跡を振り返る
「君のお母さんの年収と高校の学費、それぞれいくらか知っているの? 3人兄弟だよね? 普通に考えたら通うのは経済的に厳しいと思うけど、ちょっと呑気すぎるんじゃない?」――。 筆者が30年前、とある都内の私立高校を受験した際に、10名ほどの学生が居並ぶ中で面接官にかけられた言葉だ。 そのことが自分の原点であった、かどうかはわからないが、この経験によって母子家庭という環境といった「社会の中での自分がどう見られているか」や「普通とは何か」など、いろいろと考えさせられたことは確かだ。
また、自分自身の進む道や生き方を自分事として学び始めたきっかけにはなったのだと思う。 ■ユニークネスこそが最大の武器 「人生やキャリアにおいて大切なことは、自分にとっての現実的な選択肢を複数持てる状態を創り上げること」 「キャリアとは個人としてのユニークネス(独自性)の構築であり、そのユニークネスこそが最大の武器であり自分の名刺である」 そんなことを過去の著作なんかでいろいろと語ってきた。 そして本連載。
読者の皆様のお陰で10年以上にわたり、さまざまなキャリアや人生に関わる相談を受け続け、ありがたいことに東洋経済オンライン上の最長連載となっているという。 そんな長期にわたる連載および相談を通じて、いろいろと考えさせられることや、共通の関心事、人生やキャリア構築にあたって陥りがちなパターンや考え方なんかが見えてきたことも確かだ。 そんな経緯もあって、10年以上にわたり読者の皆様から相談を頂戴し回答する、というスタイルでやってきたが、今回からはちょっと趣向を変えて、「多分読者の皆様が気になっていること」やキャリアにおける旬のネタをピックアップして自分なりの考えを綴る、という形式に変えてみようかと思う。
とはいえ、いきなりそんなふうに変わるのもなんなので、今回は改めて私自身のキャリアの軌跡みたいなものを再度の自己紹介を兼ねて綴ってみようかと思う。 私の過去の著作を読まれた方は既にご存じの部分も多いかと思うが、ぜひ今回はそんな感じでお付き合い願います。 さて、冒頭のエピソードを経て、結局私は当時定員割れしていた某都立高校に入学することとなった。その後は中堅どころの私立大学に進み、就職氷河期真っただ中の2001年に卒業した後は複数のベンチャー企業勤務やIPO(株式公開)を経て20代のうちに異なる上場企業2社で執行役員を経験、某戦略系コンサル会社では当時最年少でディレクター職に、そして40代となった今では上場企業の代表(社長)を務めている。