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猛暑の原因?温暖化の「ファクトフルネス」

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日経BizGate

 残暑が終わらない。今年は戦後「最も暑い夏」で、8月の平均気温は東日本で平年より2.1度、西日本で1.7度高く、1946年の統計開始から東日本で最高、西日本でも過去最高の2010年と並んだという(気象庁まとめ、8月30日まで)。猛暑の原因を地球温暖化だけに求めるのは、将来の見通しを誤る。国際的な気候変動問題に精通しているキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志・研究主幹は「温暖化問題は中長期視点で観測データを分析し、新たなニーズに対応した技術の芽を育てていくべきだ」と説く。

「温暖化で猛暑」は誤解

 ――8月の東京で35度を超える猛暑日は11日で、23区内の熱中症死亡者は180人を超えました。年々暑さがひどくなるように感じるのは温暖化が急ピッチに進んでいるからではないですか。  「全地球レベルでの温暖化は確実に進んでいます。ただごく緩やかなペースで、天候への影響はごく一部です。『日本の猛暑の原因は温暖化』は誤解のひとつと言ってよいでしょう。地球温暖化による日本の平均気温上昇は100年あたり1.1~1.2度で、都市化などの影響を補正すると100年あたり約0.7度になります。子供が大人に成長する30年間の期間では約0.2度で、体感できるような温度差ではありません」  「猛暑の第一の原因は、気圧配置の変化やジェット気流の蛇行など自然変動にあります。まだ記憶に新しい2018年7月の猛暑は、日本や欧州で記録的に高い気温を観測しましたが、北米やカザフスタンは寒かった。地球全体が暑かったわけではありません。国内でも東日本は暑かったものの、北海道や九州南部では猛暑ではありませんでした。日本が地球温暖化のせいで暑くなったのではなく、一部が自然変動のせいで暑くなったのです」  ――ほかの原因は考えられますか。  「第2の原因は都市化です。アスファルトやコンクリートが増えると、ヒートアイランド現象が生じます。100年単位では、東京は3.2度、大阪は2.8度、名古屋は2.6度も上昇しました。そのほか、家やビルが建て込むことで風が遮られて暑くなるひだまり効果もあります。水田が無くなるとその周辺では1度くらいは暑くなります」  ――台風10号の被害も甚大でした。温暖化の影響はないのでしょうか。  「台風のメカニズムについてはまだ明らかになっていません。発生数も、1951年からの統計では増えていないのです。一方、昨年の多摩川や千曲川、今年の球磨川のような水害が起きています。必要なことは、まず十分な治水工事が行われていたかを検証し、適切な防災対策を講じることでしょう。ハード面だけでなくSNS(交流サイト)の活用などのソフト面でも防災機能を高めていくべきです」

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