世界最強の米海軍極秘特殊部隊「シール・チーム6」が中国の台湾侵攻に備えて訓練中、「台湾防衛」に米国が本腰
(国際ジャーナリスト・木村正人) ■ ATACMSでロシア国内を攻撃するのは禁止 [ロンドン発]アントニー・ブリンケン米国務長官とデービッド・ラミー英外相は9月11日にキーウを訪れ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談。武器弾薬の提供継続を確認したものの、ロシア国内の軍事目標を攻撃する能力に関する方針は明確にしなかった。 【写真】キプロスでの合同軍事訓練に参加するキプロス国家警備隊の特殊作戦チームと米海軍シールズの隊員(2021年9月) イランはロシアに短距離弾道ミサイル、特に射程距離約120キロメートルのFath-360ミサイルを提供している。ウクライナで前線から離れた地域を攻撃するため使用されるとみられている。ブリンケン氏は10日の記者会見でロシア軍人がイランで使用訓練を受けたことを認めた。 米政府高官2人が米CNNに語ったところによると、ジョー・バイデン米大統領はウクライナ軍が米国提供の地対地戦術ミサイルMGM-140 ATACMS(エイタクムス)を使ってロシア国内を攻撃することを禁止する方針を変えていない。制限解除に「前向きではない」という。 ウクライナ側は、空中発射巡航ミサイル「ストーム・シャドウ」など英国が提供する長距離兵器を使用してロシア国内の軍事目標を攻撃する許可をキア・スターマー英首相が下ろすのを待っている。バイデン氏はロシアの全面勝利も、戦争のエスカレーションも望んでいない。
■ 世界で最も強力な特殊部隊「シール・チーム6」 国連によれば、ウクライナでは8月だけで民間人184人がロシアの攻撃で死亡した。9月3日にはウクライナ中部ポルタヴァ市にある軍事研究所の分校と近くの病院にロシア軍のミサイル2発が命中し、死者・行方不明74人、負傷者328人という大きな犠牲が出た。 ロシア軍がイランの短距離弾道ミサイルを使うようになれば、被害拡大は必至。それでもウクライナ軍がATACMSでロシア国内を攻撃するのをバイデン氏が認めないのはなぜか。核戦争リスクと、米国の真の競争相手はロシアやイラン、北朝鮮の背後にいる中国であることが理由だ。 英紙フィナンシャル・タイムズ(9月12日付)は2011年に米同時多発テロの首謀者オサマ・ビンラディンを殺害した米海軍の極秘特殊部隊「シール・チーム6」(正式名称:DEVGRU)が、台湾が中国に侵略された場合、台湾を支援する任務を遂行するための訓練を行っていると報じた。 シール・チーム6は世界で最も強力な特殊部隊の一つ。テロ対策、人質救出、偵察、注目度や秘匿性の高い作戦に従事する。1980年、イラン人質救出作戦の失敗を受けて結成された。世界中どこでも活動可能で、米国が戦略的利益を有する非常に危険な任務を負う。