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韓国の新法相、秋美愛氏にも不正疑惑で、文在寅不信広がる

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ニューズウィーク日本版

──「清廉潔白 」を売りにしてきた秋美愛法務部長官だったが......

本人や家族の度重なる不正疑惑が露呈して就任から2ヶ月あまりで法務部長官を辞任したチョ・グク氏の後を受けて韓国法務部長官に就任した秋美愛(チュ・ミエ)氏もまた、不正疑惑が生じ、韓国国会が紛糾している。息子が兵役期間に特別待遇を受けた疑いから、韓国軍や兵役を経験した若者の間で政権に対する不満が広がっている。 【写真特集】セクシー女優から受付嬢まで、トランプの性スキャンダル美女たち ■ 「清廉潔白 」を売りにしてきた秋美愛法務部長官だったが...... 秋美愛法務部長官は、2016年8月27日から2018年8月25日まで「共に民主党」の代表を務めた。相次ぐ不正疑惑で辞任したチョ・グク前長官の後を受け、20年1月2日、法務部長官に就任した。 秋長官は就任早々、チョ・グク前長官の疑惑解明を指揮して文在寅政権との対立が深まったユン・ソギョル検事総長の側近と目された検察幹部32人を異動させ「大虐殺の人事」だと報じられた。 秋美愛長官の息子は、米軍を支援する韓国軍部隊のカトゥサ(KATUSA)に入隊した。文在寅大統領が就任し、秋氏が代表を務めた共に民主党が与党となった直後の17年6月、秋氏の息子が右ひざの手術を受けるため病気休暇を取得した。 病気休暇は6月5日から14日だったが、最終日の14日、電話で休暇の延長を申請した。軍は部隊員から休暇の申請が出されると、事情を詳細に確認し、休暇人数の制限や人材運用を加味して許可するか否かを判断する。 当初、弁護人は秋氏の息子自身が直接部隊に連絡して2回目の休暇を申請し、口頭で許可を得たと説明したが、サーバに録音されていた声の主は女性で、電話を受けた記録には秋氏の夫の名が記されていた。また、声の主は秋長官でもなく、長官自身も連絡した事実はないと述べており、補佐官が申請した疑惑が浮上した。 秋氏の息子は休暇が終了する23日に再延長を申請したが、部隊は許可を出さなかった。しかし、24日になっても復帰せず、25日に当直兵が本人に電話をかけると彼は自宅にいると答えたが、その20分後、上級部隊の大尉が、未復帰ではなく休暇として処理するようにと指示を出し、24日から27日まで個人休暇の扱いになった。検察は「軍務離脱罪」の疑いで当時の状況を調べている。 秋氏はまた、2014年から2015年にも長女が経営するレストランで250万ウォンの政治資金を使っており、裁判官出身で「清廉潔白 」を売りにしてきた秋氏の政治資金不正使用疑惑として問題になっている。 ■ 兵役義務のある若者の間で不満の声が広がる 法務長官の息子の軍務にかかわる疑惑に20代から30代の若者の間で不満の声が広がっている。韓国人男性は、満20歳から28歳の間に約2年間の兵役が義務付けられている。陸軍は18ヶ月、海軍は20ヶ月、空軍は24ヶ月で、除隊後も8年間は予備役として、また、40歳まで民防衛隊に所属して訓練を受ける。 兵役期間中は、軍事訓練に加えて徹底した反共教育が行われ、北朝鮮に対する憎悪が植え付けられる。2010年3月、哨戒艦の「天安」が沈没して、乗組員104名のうち46名が行方不明になった。犠牲者の大半が20歳と21歳だった。沈没した天安を引き揚げた現場周辺で北朝鮮製大型魚雷の残骸が発見され、調査団は朝鮮人民軍の魚雷攻撃による沈没と断定した。また同年11月には仁川市の延坪島砲撃事件で砲撃戦が起き、今年の5月にも江原道鉄原の非武装地帯(DMZ)で銃撃戦が発生した。 兵役は肉体的にも精神的にも過酷で、ストレスに耐えかねた兵士が手榴弾を投げ、銃を乱射して同僚を殺害するといった事件が数回起きている。北朝鮮から母国を守るという使命感が、厳しく生命の危険がある訓練に耐える原動力となっている。 ■ 文在寅政権不支持率が支持率を上回った 兵役は、政財界のトップの子息も免れることはできないが、優遇疑惑が囁かれている。法務部長官の息子が所属したカトゥサは米軍と行動を共にする部隊で、生活環境や食事、休暇など一般部隊より優遇されている。さらに英語力が向上し、就職にも有利なことから人気が高く、部隊員は一定以上の英語力がある志願者の中から選抜される。入隊に介入した疑惑が生じたが、抽選で決まるとして介入疑惑を否定した。 優遇疑惑が常につきまとう政財界のトップは、自らはもちろん兵役に従事する子にも身を律するよう教示するのが一般的だという。 兵役での教育方針と矛盾する文政権の北朝鮮政策に対しては意見が分かれるが、兵役を経験した世代は、優遇そのものより謝罪をしない秋美愛長官に大きな不満を抱いている。また、優遇疑惑が深まるなか、最近行われた演説では、「公正は政府の揺れない目標」と話す文在寅大統領に対する不信も広がり、政権不支持率が支持率を上回った。

佐々木和義

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