美団がオンライン医療サービスに本腰 160兆円規模の市場を牛耳るのは誰?
生活関連サービス大手の「美団(Meituan)」が、美容医療や医薬品購入などのサービスに続き、新たな医療・ヘルスケアブランド「百寿健康」をリリースした。このサイトは医薬品関連企業の誘致や医薬品の代理販売、医薬品展示などを網羅する総合的な医療・ヘルスケアプラットフォームとなる。 美団の医療サービス事業は、百寿健康のリリースでフルカバレッジとなった。同社は今後、アリババやテンセント(騰訊)、百度(バイドゥ)、京東(JD.com)、バイトダンス(字節跳動)など大手各社がしのぎを削る医療・ヘルスケア市場に本格参入することとなる。 デリバリーや旅行、ヘルスケアなどの事業が急成長したことを受け、美団の時価総額はこのほど3000億ドル(約31兆5000億円)を突破した。香港株式市場では1月20日時点で、アリババ傘下の医療プラットフォーム「阿里健康(アリヘルス)」の株価が10.02%、京東傘下のヘルスケア企業「京東健康(JD Health)」の株価が8.99%上昇している。ポストコロナ時代における医療・ヘルスケア関連事業は、美団の発展にとっても大きなプラスになることは間違いない。 ■ 美団の戦法 調査会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」によると、中国におけるモバイル医療サービスのユーザーは、2020年に延べ6億3500万人となり、「ワンヘルス」産業全体の規模が10億元(約160億円)に達したとみられる。IT大手が次々と参入する業界で、美団がどのように競争に加わるのか注目されるところだ。 百度、京東、アリババ、テンセント、バイトダンス傘下のヘルスケアブランド「小荷健康」に比べ、医療・ヘルスケア分野ではやや遅れてスタートを切った美団だが、カバー範囲をみるとまったく遜色はない。 美団は、オンライン医療・ヘルスケア事業として、美容医療の「美団医美」、医薬品購入の「美団買薬」、医療関連の「美団医療」に百寿健康を加えた。中でも、美団医美と美団買薬は医療・ヘルスヘアサービス事業の屋台骨となっている。 美団が発表した「2020年春節巣ごもり経済ビッグデータ」によると、20年の春節期間中、高血圧など慢性疾患の処方箋医薬品販売量は前年同期比で約2.5倍となった。また、美団買薬は一部医療機関との提携により、小規模なインターネット病院モデルを構築し、オンライン問診や24時間・年中無休の薬剤師による薬の使い方指導サービスを行った。 美団買薬はまた、オンラインでの医療サービスと医薬品小売販売に加え、ブランドマーケティングで事業の発展を図っている。 19年9月には、薬の購入時に0.01元(約0.16円)を払えば、かわいらしい「美団小薬箱」に入れて配達してくれるサービスを行ったところ、一夜にして爆発的な人気となり、あっという間に150万個の売り上げを記録した。消費者はこの薬箱欲しさに、美団のサイトで常備薬を購入している。