[取材ノート] 里山を未来につなぐ地域貢献 / 東濃
美濃加茂市に本社を置く木製建材メーカーが「木の国・山の国プロジェクト」に取り組んでいる。岐阜県の森林資源を生かし、優れた県産材の魅力を広め、地域の活性化と環境社会づくりに貢献しようとプロジェクトを立ち上げた。 その一環として推進しているのが、地元の美濃加茂市の里山に自生する広葉樹「アベマキ」を活用した商品開発。アベマキを活用して里山の保存と整備を進めていく美濃加茂市の「里山千年構想」に協力している。 アベマキは、岐阜県の標高の低い森林に多く見られるブナ科コナラ属の広葉樹。小径木で虫食いが多いため、建材に利用されることはなかった。かつて燃料の薪(まき)に使用されていたが、近年は需要減で里山に放置状態だった。 同社は、数少ないアベマキの良材を集成材や突板(薄くスライスした板材)に加工して利用し、建材のカウンターを開発。また、スマートフォン用ウッドスピーカーなどの小物雑貨も開発して大手インターネットモールで販売している。
アベマキを利用することで里山は少しずつ生き返る。里山を未来につなぐための同社の地道な取り組みは、企業の地域貢献の理想形の一つといえよう。 ■堀田 義博(ほった・よしひろ)岐阜県東濃地域を担当。2度目の東濃勤務はコロナ禍の中で約1年半が経過した。コロナ禍は東濃の美濃焼産地に深刻な打撃を与えた。苦境に立ち向かう産地企業の姿を取材していく。