社会への恩返しで宅配温泉 鋸南の大福商店が販売(千葉県)
房州では珍しい硫酸塩系の温泉水「房州大福温泉 ちちんぷいぷいの湯」として、源泉を自動販売機方式で販売していた、鋸南町の鮮魚冷凍・水産加工会社「有限会社大福商店」(鈴木仁代表取締役)が、宅配での温泉水販売に乗り出した。おととしの台風で冷凍設備などに大きな被害を受け、水中ポンプなど一式も使えなくなった。全国の善意を受けて復旧したことから、社会への恩返しの気持ちで、まずは関東1都6県向けに格安の温泉水を配り、自宅の風呂で温泉気分を楽しんでもらおうという。
鈴木代表は父親から大福商店を継ぎ、鮮魚の冷凍や水産加工を手掛ける。
同町下佐久間字堤ヶ谷の自社敷地内に温泉を掘った。専門機関の成分分析試験を受け、ナトリウム・カルシウム・マグネシウム―硫黄塩冷鉱泉(低張性弱アルカリ性冷鉱泉)の泉質だと分かった。2007年のことだ。
鈴木代表は当面の販売として、自動販売機式の温泉スタンドを設置。固定ファンが付き、温泉水も売れた。 経年変化で地下120メートルの水中ポンプが故障。その後に、おととしの台風被害で、社屋や冷凍設備も大きな被害を受けた。
復旧作業で多くのボランティアの支援を受けたことから、この恩返しをしようと、宅配での温泉販売を計画した。
「本業が水産冷凍業なので、冷やす、凍らせるは得意でも、温めるのはちょっと苦手」(鈴木代表)で、宅配した自宅で風呂に入れて使ってもらえたらと、宅配温泉を企画した。
段ボール箱入り20リットルで、税込み宅配料込み3000円、同10リットルで2400円。重たいので、それなりの宅配料金がかかるという。
標準的な家庭用の風呂200リットルに10リットルを入れてかくはんし、温度調整すればOK。20リットルで2回使えるという。
飲用はできず、温泉の成分などで鉄製品などに影響が出る材質部分については、使用後、きれいに水洗いしてほしいという。残り湯は洗濯などで使わず、残らず排水して、浴槽もぬれているうちにきれいに流す。肌に合わない場合は、直ちに使用を中止してと呼び掛けている。