「福岡を盛り上げて」博多大吉が後押し 兄弟芸人サカイスト結成20年目の挑戦
兄弟芸人サカイストが結成20年目を機に活動拠点を福岡へ移すという新たな戦いに挑む。25日、イムズホール(福岡市中央区天神)で移籍発表後、初の単独ライブ「よろしく福岡」を行う。博多華丸・大吉もゲスト出演し、華を添える。 仰け反りながら「オシャレが止まらねぇ~」と叫ぶツッコミという名の「オシャレ」担当の兄・デンペー、ネタ作りを担当し“チャラい”兄を支える弟・まさよしの東京都出身の二人組。1998年に銀座7丁目劇場で初舞台を踏み、絶好調のサカイストが今なぜ福岡に? 彼らのお笑いの原点から、芸風確立、そして重大な決断に至るまで、“兄弟げんか”の合間をぬって、話を聞いた。
弟がまず、今いくよくるよに弟子入り 兄はジャニーズ志望だった?
お笑いの道を志したのは弟・まさよしさんの吉本新喜劇好きがきっかけだ。大阪生まれの両親の間に生まれたことから、子どもの頃は帰省すると必ず吉本新喜劇を観に行っていたという。 まさよし:「その時から吉本に入りたくて。16歳の時にNGK(なんばグランド花月)で今いくよくるよ師匠を見て、すぐ裏の駐車場に行って弟子にしてくださいと言いました。弟子入り期間の一年を終え、相方どうすんだってなった時にお兄ちゃんがいいかなと」 弟がお笑いの道を歩みだした一方、兄のデンペーさんは編集者を目指し、カメラの専門学校に通っていた。 デンペー:「かっこつけてるわけじゃないけど、授業でモデルを撮影しているとき、俺、そっち側をやったほうがいいよなって思えちゃって。実はジャニーズ目指してたんで。そう感じていたときに弟が声かけてくれて。いいタイミングだと、まさよしさんが弟子修行を終えた後に僕も弟子入りしました」 まさよし:「うちの師匠は芸のことはあまり教えない。主に礼儀作法ですね。礼に始まり礼に終わると。細かいことまで教えてもらった。この世界、人に愛されなさいと」
サカイスト=酒井の最上級 「ツッコミがオシャレするなんて」非難の嵐
「サカイスト」というコンビ名は2人の苗字「酒井」に「-est」を付けてモジった「サカイの最上級」の意味だ。 まさよし:「師匠の弟子だと分かるように、当初は『でるかでるよ』にしようと決めてたんですが、師匠からNGが出まして。それで20個くらい考えた案の中から、選んでもらいました。スタイリストみたいで売れそうやなぁ、ええなぁって」 ネタ作りはまさよしさん、「オシャレのことで頭が一杯で」というデンペーさんは「オシャレ」担当。独特なファッションに身を包み、片手でマイクを抱えて仰け反り「オシャレが止まらねぇ~」と叫ぶ芸風は、東京で個性を出そうと生み出したものだが、この「“チャラい”オシャレ芸人」にキャラ替えした瞬間は周囲から非難の嵐だったという。 デンペー:「ツッコミがオシャレをするなんて、まさよしを潰してる。やるな、すぐやめろと」 まさよし:「もちろん何度もけんかして悩みました。でも、スーツから革ジャンに変わり、ファーに変わり(笑)。肩丸出しの状態で“なんでだよ”とツッコまれても“お前の方がなんでだよ、この冬に”とデンペーさんの服装一つで面白くなってきたんですよね」 デンペー:「3年やり続けると周囲の見る目が変わった。面白いね、と」 まさよし:「いや、面白いねとなったのはデンペーさんだけの力じゃない」 デンペー:「漫才をネタっぽく見せたくないというのが僕たちのコンセプト。カッコよく言えば、兄弟げんかを見せたい。ほんわかして誰も傷つけない。誰も嫌な思いをしない漫才を作れたらというのが一番で。2人が楽しければそれがお客さんに必ず伝わる。僕らの家に遊びに来てくれているような空間が作れたらいいのかなと。弟子時代に師匠の漫才を見て感じたことです」