くら寿司「鬼滅」コラボで売上急伸、好調続く。ただし業績には不安材料も…
今年世間を賑わせた大ヒットといえば、アニメ『鬼滅の刃』。漫画、映画のヒットだけでなく、商品開発やキャンペーンでコラボした企業の業績を力強く押し上げました。 くら寿司の株価の動きを見る 苦戦する外食業界にあって、その「鬼滅」効果を最大限に活かしたのが、回転寿司チェーンのくら寿司 <2695> です。コラボキャンペーン実施中の9月・10月の売上高は前年比大幅プラス、11月に入ってからも好調が続いています。この勢いは今後も続くのでしょうか。
いち早く最悪期を脱した「くら寿司」
外食産業全体の売上高は2000年以降、平均年102%程度の成長を続けていましたが、緊急事態宣言が発出された今年4月に過去最悪の前年同月比60%を記録しました(日本フードサービス協会調べ)。 くら寿司も、4月の既存店売上高は前年同月比52%と業界全体以下に沈みましたが、それ以降はテイクアウトの強化やコロナ感染症対策の実施・PRなどで回復を図り、コロナ“第2波”が到来した7~8月には対前年同月比90%台まで戻しています。 コロナ禍にうまく対応しているように見えるくら寿司ですが、近年の経営状況はどうなのでしょうか。
積極的な出店で事業拡大するも、2019年10月期は伸び悩み
くら寿司は郊外の住宅街を中心に、国内に直営で470店舗を展開しています。海外進出もしており、米国に28店舗、台湾に32店舗があります。 では次に、新型コロナ流行以前の3カ年について業績を見ていきましょう。2017年10月期から2019年10月期までを順に追っていくと、売上高は1228億円⇒1325億円⇒1361億円と増収が継続。一方、営業利益は63.4億円⇒68.8億円⇒54.8億円、当期純利益は48.8億円⇒51.3億円⇒37.7億円と、2019年10月期に大幅減益となっています。 売上高の増加は店舗数の増加によるもので、2018年度は27店(うち国内18店)、2019年度は32店(同20店)の新規出店を行っています。 2019年10月期の急激な減益は、人手不足による人件費の増大が大きな要因です。また、2019年2月に発生したアルバイト従業員が不適切動画をインターネットに投稿した事件も客足に影響したと見られ、売上高の伸長率は2.7%。他方で販管費が店舗拡大によって652億円から690億円へ5.8%も増加したことが響きました。