92歳広岡達朗が<大リーグ挑戦>を表明した菅野智之に送るメッセージ。「21年の挑戦では巨人に残留してよかったと思った。そして今回は…」
2024年9月、阿部慎之助新監督率いる読売ジャイアンツが、4年ぶり39度目のセ・リーグ優勝を果たしました。大混戦となった2024年シーズンでしたが、巨人OBで野球解説者の92歳・広岡達朗さんは「巨人が強くなったのではない。他がだらしないのだ」と厳しく評価しています。そこで今回は、広岡さんの著書『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』より一部引用、再編集してお届けします。 広岡達朗が<24年シーズンと阿部巨人>を一刀両断。「私に言わせれば、蓄積された戦力がある以上ダントツの独走でなければ…」 * * * * * * * ◆カード初戦は必ず戸郷・菅野に先発させろ 報道によると阿部監督は開幕前、「菅野(智之)は中7日以上空けてもいい」と語っていた。 その方針通り、前半戦は原則中6日で登板していたのは、菅野の年齢とコンディションに配慮したのだろう。たっぷりと登板間隔をもらい、エース級との投げ合いがないなかで勝ち星を重ねてきたわけだ。 勝率と防御率のいい菅野は7月28日のDeNA戦で3年ぶりに完封勝利を収めて規定投球回(=チーム試合数)に達したが、この勝率も相手投手の顔ぶれとの関係を吟味しなければいけない。 この因果関係と勝敗の本質を、なぜ野球評論家は指摘しないのか。ファンやマスコミと一緒に「勝った勝った!」と評価するだけでは専門家とはいえないだろう。
◆二枚看板 菅野はその後、8月25日の中日戦に先発し、7回1/3を被安打5で12勝(2敗)まで勝ち星を伸ばした。 だが、7月からこの日までの先発時の相手チームはヤクルト、DeNA、中日、DeNA、ヤクルト、中日、DeNAと下位チームばかり。しかも登板間隔はいずれも中6日で、ローテーションの順番は山崎伊織(「崎」は正しくは「たつさき」)、グリフィン、戸郷翔征、西舘勇陽、井上温大だった。 つまり中日戦前の首位・広島との直接対決には菅野の出番がなかった。 山崎・井上の成長と頑張りがあったとはいえ、カード変わりの3連戦には必ず戸郷と菅野の新旧エースが交代で先発登板してほしかった。そうすれば、どのカードも二枚看板が先頭に立ってチームを牽引することになる。
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