年間スポンサー収入「0円」の競技団体も…障害者スポーツ「マイナー」に危機感 助成金頼み、窮状を打開できるか
各競技団体は、日本財団パラスポーツサポートセンターや日本パラリンピック委員会が拠出する助成金のほか、スポンサー収入などを元手に、選手の遠征費や強化合宿費、職員の人件費、イベント開催費などを賄っている。 ただ助成金の使い道は原則として、遠征費など選手の活動費に限られているという。スポンサー収入や寄付金がなければ、競技の普及や選手の発掘などは難しい。 知的障害部門の競技は身体障害部門の競技と比べてスポンサー獲得の難易度が「高い」という声も。日本知的障がい者卓球連盟の石川一則理事長は「身体障害部門の競技のように選手の外見で障害が分かれば『頑張っている』と共感してもらいやすいが、知的障害部門は本人の苦労が見た目だけで分からないので、社会的に応援してもらいにくい」と話す。 ▽かつては「門前払い」だった企業に変化も P.UNITEDはパラリンピック対象競技を含む障害者スポーツの体験会や、選手が登壇する講演会などのイベントを手がけている。9月22日には東京・秋葉原の「ベルサール秋葉原」でパラスポーツの体験イベントを開催。延べ約1万2千人が参加した。各ブースは、パリ大会に出場した選手らと交流したり、競技を体験したりする人たちでにぎわった。
設立から1年以上が経過し、効果が少しずつ出始めている。 日本障がい者乗馬協会の事務局長でP.UNITEDの副代表、河野正寿さん(50)は「点で活動していた団体が団結することで活動の幅が広がっている」と手応えを感じている。かつては競技団体が個別に営業で企業を訪問しても「門前払いされることが多かった」というが、近年は「話を聞いてくれる企業が増えた」としている。 2024年7月には物流大手「山九」がP.UNITEDの公式スポンサーとなった。選手の雇用も念頭に「競技で培ったチャレンジ精神やチームワークを社内で生かしてもらいたい」(山九担当者)と期待する。 ▽「情報発信の強化」→「スポンサー収入増」→「選手の成績と競技人気がアップ」 一方、パリ大会で金メダルを獲得した車いすラグビーや、車いすテニスのように、多くの大手企業がスポンサーとなっている競技の収入規模には届いていない。身体障害部門の卓球は6社から計2700万円の支援を受けている。競技や選手の魅力に実際に触れてもらえるよう力を入れてきたという。