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「紙のきっぷ」の新形態、JRも導入を目指す「QRコード乗車券」とは

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鉄道コム

 電車の乗車には必須ともいえるきっぷ。かつてはボール紙などのものが主流でしたが、自動改札機が登場すると、これに対応した磁気券が登場。次いで繰り返し使える「イオカード」などのSFカードが生まれ、さらに「Suica」などのICカードが普及するといった進化を続けてきました。  紙製のきっぷは、1970年から1990年にかけて自動改札機が普及すると、これにあわせて裏面に磁気が塗布されたものが都市鉄道では主流となり、現在でも自動改札機を導入する事業者はほとんどがこのタイプを採用しています。  自動改札機の誕生とともに確立した現在の紙のきっぷですが、近年、新たな形へと進化しようとしています。QRコード乗車券です。  QRコードは、自動車部品メーカーであるデンソーが、1994年に開発した2次元バーコード。当初は工場での製品管理に用いられていましたが、扱える情報量の多さや、汚損耐性の強さなどにより、他の分野へも普及。近年ではスマートフォンの普及により、LINEなどのSNSや、「PayPay」のような決済サービスでも用いられるほど、身近な存在となっています。  そして、鉄道業界においても、2010年代に入り、乗車券用に導入する事業者が出現。さらに2019年以降は、JR東日本や阪神電気鉄道、大阪メトロといった大手事業者が、導入に向けた実証実験を初めています。 【画像】ICカード読取部の中にQRコード読取部がある自動改札

 QRコード乗車券を導入するメリットは、従来の磁気券と呼ばれる紙のきっぷよりも、コストを削減できることにあります。  磁気券に対応する自動改札機の場合、磁気を読み取るセンサーの他に、きっぷを挿入口から出口へと送るベルト機構、裏返しに挿入されたきっぷを反転させる機構など、多くの可動部があります。このため、調達コストやメンテナンス費用がかさみ、また券詰まりなどの故障が発生する確率も高くなります。  また、磁気に情報を書き込む必要があるため、磁気券の発行は駅の券売機や窓口の機械などに限られてしまいます。  これに対し、QRコード乗車券の場合は、自動改札機に読み取り用のスキャナーを設置するだけで、機械的な可動部は扉(フラップドア)以外に必要ありません。また、QRコード乗車券は紙に印刷すれば良いため、専用の駅務機器だけでなく、家庭用のプリンターでも発行が可能。スマートフォンなどの画面に表示することでも対応できます。  ただし、手軽に印刷できるということは、コピーなどの行為で不正に利用される可能性もあります。この点については、デンソーからQRコード事業を引き継いだデンソーウェーブが、不正コピーを防止できるきっぷを開発しています。券面に特殊なインクを塗布し、QRコードの複製を防ぐ仕組みです。QRコード自体も特定のスキャナーでなければ読み取れないよう暗号化されているため、スマートフォンなどで情報を読み取ることもできません。  ところで、QRコード乗車券ではなく、ICカード乗車券でも、自動改札機の機械的な可動部を減らすことはできます。では、なぜSuicaなどのサービスが既に存在するにも関わらず、JR東日本などは新たにQRコード乗車券の導入を目指しているのでしょうか。  一つは、Suicaなどが普及したとはいえ、普及率が100%ではないこと。普及が進んでいる都市圏でも、普段は電車に乗らない人や、海外旅行者など、ICカードを保有していない利用者は一定の割合で存在します。ICカード乗車券を導入していない地区ではなおさらです。Suica誕生前ほど多くないとはいえ、一定数の利用がある紙の乗車券を廃止し、チャージの手間などがあるIC乗車券へ完全移行させることは困難です。  また、ICカード乗車券では、自動改札機のコストを減らすことはできますが、乗車券そのものは紙に印刷できるQRコード乗車券よりもコストが掛かるのがネック。海外の地下鉄などでは、紙の乗車券の代わりに、ICチップを内蔵したコイン状のトークンを使用する事業者もありますが、この場合は預かり金を徴収して降車駅で払い戻させるか、出口の改札機でトークンを回収することで、再利用を前提としコスト増をカバーしています。  QRコード乗車券の場合、紙に印刷したものは基本的に使い捨て。降車時に自動改札機で回収する事業者としない事業者がありますが、回収しない場合には、ポイ捨てされる可能性こそありますが、自動改札機の機械的な可動部を扉を除いて無くすことができます。  さらに、QRコード決済ツールなどとの連携も理論上可能。QRコード乗車券を導入している沖縄県のゆいレールでは、2018年に中国の「Alipay(支付宝)」で直接乗車できる実証実験を実施しました。決済方法の違いなどの問題もありますが、このように海外で広まっているQRコード決済ツールと連携することができれば、訪日外国人の利便性向上につながります。

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