コロナ禍でも絶好調のニトリHD。業績や株価はどれだけ伸びている? 島忠買収検討も
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は、消費者に直接「モノ」を販売する業種に甚大な影響をもたらしました。中でも深刻なのが人との接触が避けられない小売業や飲食業です。外出自粛によって需要がなくなり、資金繰りに堪えかねた店舗は軒並み閉店に追い込まれました。 「ニトリホールディングスの過去10年の株価推移」を見る
苦境にあえぐ小売業界で、抜きん出た業績のニトリ
5月末から6月初旬にかけて、東京商工リサーチが行った調査(対象:全国1万8462社)によれば、小売業では85%の事業者がコロナの影響を受けていると回答しています。 食料品や生活必需品を扱うスーパーやドラッグストアは、消費者の生活圏が自宅周辺に狭まったことで、前年比プラスの売上高や利益を出したところも少なくありませんでしたが、アパレルなど緊急性の低い業種では大量の店舗閉鎖が起きました。 家具・インテリア用品を扱うニトリも、緊急事態宣言の期間中である4月末時点で103店舗の休業と436店舗の営業時間短縮を実施しており、コロナによる業績への影響は避けられないように見えました。 しかし2021年2月期第2四半期(2月21日~8月8日、以下同)の業績をみると、売上高を前年同期比で12.7%も伸ばしています。 ニトリは他の小売業と何が違うのでしょうか。
事業内容
ニトリを展開するニトリホールディングス <9843> の事業は、家具・インテリアの販売です。その他事業として不動産収入もありますが、売上高が全体の2%弱なのでここでは割愛して考えます(以下、ニトリホールディングスをニトリと表記)。 ニトリブランドの店舗数は第2四半期終了時点で国内554店・海外67店の計621店舗となっており、これに加えネット通販も展開しています。 北海道で生まれたニトリが全国展開に踏み出した2000年以前は、家具類でリーズナブルなものは少なく、店舗によって商品のデザインも異なっていました。しかし「お、ねだん以上。ニトリ」というキャッチフレーズのもと、全国どこでも均質かつシンプルな商品を低価格で提供することで人気を獲得していきました。 ニトリのビジネスの強みは、商品の企画開発、原材料調達から、物流までを徹底的に管理したうえで、商品の生産を海外の自社・協力工場に委託する「製造物流小売業」の仕組みです。商品の90%以上をベトナムやインドネシアなど、人件費の低い海外で生産することで低価格を実現しています。