福井県民の実感は薄いけど…幸福度日本一の理由 福井商工会議所が独自分析
幸福度日本一の要因は-。福井県の福井商工会議所はこのほど、都道府県別の幸福度ランキングを独自に分析。福井県が総合1位評価を受ける要因として「家族や地域コミュニティーのつながりの濃さ」や「ゆとりのある生活構造」が影響しているとの結論を導き出した。 幸福度ランキングは日本総合研究所(東京)が2012年から1年おきに調査しており、24年版では福井が14年から6回連続となる総合1位に選ばれた。 同会議所の「持続可能な社会共創委員会」が、幸福度が高いとされる一方、県民の実感が薄い点に着目。客観的データを基に幸福度が高い潜在的要因を探り、評価と実感のギャップの検証、今後の施策展開につなげようと昨年5~7月、学識経験者や行政、マスコミ関係者らのワーキンググループ(WG)で分析した。 22年版ランキング算定に使用された膨大な統計データを活用。福井県の幸福度に影響が大きそうなランキング構成指標と、WGで独自に追加した計36指標を「因子分析」と呼ばれる手法を用いて要因を探った。 分析では「三世代同居の多さ」や「食糧自給率の高さ」「住宅面積の広さ」などが、幸福度が高い福井県の特徴として分かった。これらは東北や北陸などの県でも共通している項目であることに着目、いずれも日本の原風景である田舎や自給自足が可能なエリアであることも踏まえ、「家族や地域コミュニティーのつながりの濃さ」を要因と位置付けた。 もう一つの要因として「60歳以上就業率の高さ」や「美容室単価の高さ」などの特色も分かった。これらは人口が少ないと有利で、生活費に余裕が生まれやすいことが背景として考えられることから「ゆとりのある生活構造」を要因として導き出した。 二つの要因を都道府県別にみると、ランキング上位の石川や富山で同様の傾向が見られた。WGでは、これらは時間をかけて作り上げられた地域文化や生活構造などが基礎にあり、幸福度を押し上げる普遍的な要因と結論づけた。 独自分析は、10月発刊の24年版ランキング巻末にも先進的な取り組みとして掲載された。 持続可能な社会共創委員会の小川明彦委員長(大津屋会長)は「長年の歴史に基づく、恵まれた環境が福井に根付いていることが改めて分かった。この結果を出発点に、会員企業の社員の幸せ実現にどう生かしていくかなど議論を深めていきたい」と話した。
福井新聞社