今年のボージョレ・ヌーヴォーはどんな味?
どうですか。もう、伝家の宝刀を抜きすぎて、ツッコミどころ満載ですよね。このキャッチコピーが大げさすぎるという話題がコピーライターの耳に入ったのでしょうか、2016年以降は比較的おとなしい表現が続いています。今年は果たしてどのようなキャッチコピーになるのか、それも楽しみですね。 ボージョレ・ヌーヴォーが有名過ぎるのであまり注目されていないかもしれませんが、フランスのほかの地方でも50種類程度の新酒ワインが認められており、同じ11月の第3木曜日に解禁されます。
ヴィーノ・ノヴェッロ(Vino Novello、イタリア)/解禁日10月30日
イタリアの新酒です。ボージョレ・ヌーヴォーに代表されるフランスとの大きな違いは、基本的にイタリア全土で多くの種類が造られること、アルコールが11%を超えてはいけないことなどです。ボージョレ・ヌーヴォーのブドウ品種はガメイに限られますが、ヴィーノ・ノヴェッロはイタリア各地のいろんな種類ブドウから造られたワインを楽しむことができます。 かつては11月6日が解禁日でしたが、2012年の法律改正で10月30日に変更されました。たまたまなのか、意図的なのかハロウィンの前日ですね! 主要生産国の新酒ワインの中では一番解禁日が早いです。
山梨ヌーボー(日本)/解禁日11月3日
読んで字の如く、山梨県産ワインの新酒です。法律による規定ではなく、山梨県ワイン酒造組合の自主規制によって2008年からスタートしました。 「山梨ヌーボー」と呼ばれるのは山梨県内で収穫、醸造された甲州とマスカット・ベーリーAの新酒ワインのみ。解禁日の11月3日は文化の日で、不動の国民の祝日ですし、晴れの特異日としても知られています。まさに日本の新酒ワイン解禁日にふさわしい日ですね。例年、山梨県甲府市と東京で屋外イベントが開催されていましたが、今年は新型コロナウィルスの影響で中止となってしまいました。来年以降の復活を大いに期待したいです。 以上のほかドイツ、オーストリア、スペインなど世界各国の新酒ワインがまだまだあります。みなさまもぜひお気に入りの新酒ワインを見つけてみてください。
● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa
1962年三重県生まれ。 東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。 2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。
文・写真/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)