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特別企画! ロッキング・オンが選んだ「2010年代 究極の100枚」からTOP20を発表!(9日目)

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2020年を迎えて早くも初夏に。パンデミックの影響で巣ごもりの時間が長引くなか、音楽を心の拠りどころにする人も多いことでしょう。そこで、ロッキング・オンが選んだ「2010年代のベスト・アルバム 究極の100枚(rockin’on 2020年3月号掲載)」の中から、さらに厳選した20枚を毎日1作品ずつ紹介していきます。 10年間の「究極の100枚」に選ばれた作品はこちら! 2018年 『ネット上の人間関係についての簡単な調査』 THE 1975 不確かな時代の克明な肖像 ロック・バンドが若者世代の代弁者としての言葉を持つことが難しくなったのが2010年代、そんな時代のロック・バンドの空疎をアイロニカルに体現したポップ・ロックで成功を収めたバンドが、The 1975だった。 しかし彼らは本作で劇的な変貌を遂げた。かつて刹那の享楽で紛らわせていた拭いようのない喪失感や、薬物に溺れた自分の弱さ、そんな自分たちが混乱しながら生きる不確かな時代と向き合い、克明に描写する境地へと到達したこの傑作によって、彼らは言葉を、ナラティブを奪還した稀有なロック・バンドとなったからだ。 そんな本作に至ってもThe 1975の身軽さは健在だ。デビュー時から不変の80sエレクトロ・ポップからネオ・ソウル、ジャズ、トラップにアンビエントと、移り気に奏でるエクレクティックなサウンドはどこまでもポップで、むしろこの根無し草のような軽やかさこそが、「ネット上の人間関係」に象徴される今日的なコミュニケーションやパーソナリティを描く必須だったとも言える。 チルなR&Bで目覚めたい穏やかな朝もあれば、「俺みたいになるな」と警句を発しながら、自己嫌悪の沼で動けない夜もある。仮初めではない繋がりを切実に求めながら、それでも相手を裏切ってしまう。ニュースに憤り、ナイーブな社会正義を胸に秘めながらも、あっさり死にたい気分にだってなる。 怒りも悲しみも、喜びも諦めも、散り散りの感情の断片となって漂う本作は、まさに2010年代の輪郭の滲んだ肖像に他ならない。本作が「ミレニアル世代の『OK コンピューター』」と呼ばれたのも納得なのだ。(粉川しの)

rockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

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