繊維、相次ぐ縮小・撤退 「斜陽産業」、業態転換急ぐ
ユニチカが繊維事業から撤退を決め、創業以来135年続けてきた祖業に幕を下ろす。 かつて日本の基幹産業だった繊維は、国際競争の激化や国内市場縮小で今や風前のともしびに。各社は繊維事業を縮小・撤退する一方、高機能素材に注力するなど業態転換を急ぐ。 【写真】ユニチカの大阪本社が入るビル ユニチカの前身の大日本紡績は、三大紡績の一角として、鐘淵紡績(カネボウ、現クラシエ)や東洋紡績(現東洋紡)とともに日本の繊維産業を支えてきた。だが、戦後はアジア諸国の台頭や日米貿易摩擦などの影響で徐々に衰え、「斜陽産業」と呼ばれるようになった。中でも化粧品や食品などの事業を多角展開したカネボウは、繊維の不振で経営危機に陥り、粉飾を重ねた挙げ句、バラバラに解体された。 ユニチカの2024年3月期の連結売上高のうち、繊維事業は約3割を占める。同社は繊維撤退について「衣料繊維やポリエステル繊維事業の抜本的対策に踏み込めていなかった」と説明。今後は食品包装用フィルムなどに注力し、金融機関や官民ファンドの協力で立て直しを急ぐ。 他の大手メーカーも繊維の縮小を進めている。旭化成は02年にレーヨン長繊維、翌年にアクリル繊維から撤退。帝人も03年にナイロン、14年にポリエステル原料の一部から撤退し、現在は炭素繊維などに力を入れる。東洋紡は今ではフィルムやバイオ医薬品などが主力製品だ。 日清紡ホールディングスの石井靖二次期社長も28日の記者会見で、繊維などの不採算事業について「稼げない事業は撤退すべきだ」と強調した。