オアシスの歴史に踏み込む「リヴ・フォーエヴァー:Oasis30周年特別展」見どころ徹底解説
ノエル・ギャラガーとリアム・ギャラガーがまさかの復縁を果たし、オアシスの復活を宣言したのは今年8月。「OASIS LIVE ’25」と題したワールドツアーの開催も発表され、来日への期待が高まる中、「リヴ・フォーエヴァー:Oasis30周年特別展」が11月1日に六本木ミュージアムでスタートした。オアシスのエキシビションは10年前の2014年にラフォーレミュージアム原宿で開かれた『CHASING THE SUN: OASIS 1993-1997 #あなたにとってのオアシスとは』があったが、今回は展示の規模を大幅に拡大。そして何より、解散してしまった過去のバンドの回顧展ではなく、現存するバンドのイベントとして鑑賞できる点に大きな意味がある。 【写真まとめ】「リヴ・フォーエヴァー:Oasis30周年特別展」見どころ 展示室に入ると、最初の「イントロダクション」ではバンドの歴代ロゴ・ヒストリーが目に飛び込んでくる。ヴィジュアル・イメージでも強烈な印象を残したオアシスらしいスタートだ。本編は四つの章に分かれており、「第一章」ではバンドの歴史をアルバムごとに解説していて、ビギナーにもわかりやすい。1stアルバム『Definitely Maybe』のコーナーではギャラガー兄弟が通っていた地元マンチェスターのレコード店、シフターズの看板が再現されている。「Shakermaker」のMVでリアムがポール・マッカートニーのLPを眺める、あの店だ。このコーナーでは、1994年の初来日時の行程表と、六本木プリンスホテルの便箋にノエルが書いた「(It’s Good) To Be Free」の歌詞が日本のファンに喜ばれるだろう。 『(What’s the Story) Morning Glory?』のコーナーでは、「Champagne Supernova」の手書き歌詞が貴重だ。ほぼ出来上がっているが、よく見ると部分的に推敲を続けている様子がわかる。それは次の『Be Here Now』のコーナーに展示された「Stand By Me」の手書き歌詞でも同様で、使う語句や言い回しにこだわるタイプなのだろう。『Standing On The Shoulder Of Giants』のコーナーでは、珍しくリアム直筆の歌詞を見ることができる。几帳面さが出ているノエルの筆跡とはかなり違っていて、リアムが書く字はかわいらしいところがあるように思う。やはりキャラクターは字にも表れるのか。ここではノエルの手書き歌詞も6曲が展示されている。 『Dig Out Your Soul』のコーナーでは「The Shock Of The Lightning」の歌詞が書かれたノートが展示されているが……注目すべきはその右隣のページだ。「The Hostage(人質)」というタイトルで書かれた歌詞がはっきり透けて見えるが、聞き覚えのない陰鬱なフレーズが並んでいる。あれは何かの歌詞の草稿か、ボツにした曲なのかもしれない。気にしない人は素通りしてしまいそうだが、細部を意識して見ていると、あっという間に時間が過ぎていく……そういう展示物が今回は多い。マニアは時間に余裕を持って出かけた方がいいだろう。 「第二章」の目玉は、何と言っても使用楽器。ノエルのギターが壁面に並ぶ様子は壮観の一語。『Definitely Maybe』ツアーから使用したサンバーストのギブソン・レスポールとエピフォン・リヴィエラなど、ファンが見たらビビッとくる名器5本が目に飛び込んでくる。中でも必見なのは、ノエルのトレードマークとして知られるユニオンジャックをあしらったエピフォン・シェラトン。さらに、その下に置かれたギターケースも見逃せない。ケース上の文字「THE CHIEF」は、バンド内だけで通用していたノエルの呼称なのだ。このコーナーにはリアムが使っていたタンバリンとハーモニカも展示されている。 また、NMEアワード、グラミー賞などを含む数々の受賞トロフィーや、プラチナム・ディスクなどがずらっと展示されたケースも圧巻。彼らが記憶にも記録にも残るバンドであったことを思い起こさせてくれる。オアシスが表紙を飾った雑誌が大量に並ぶコーナーでは、ノエルが名曲誕生秘話や、アルバムのタイトルの由来について解説するインタビュー映像が流れており、これもしっかり見て欲しい。