多様な専門・価値観をもつ「複業先生」が、学校現場を変える?
● 教員経験がない人も 学校に関われる仕組みを構築 「テクノロジーとコミュニティの力で学校と社会をつなぎ合わせたい」――IT教育の推進を支援する株式会社LX DESIGNが、人手不足に悩む学校と、学校の仕事に興味がある人をつなぐプラットフォーム「複業先生」を立ち上げた。 【この記事の画像を見る】 学校現場には現在、キャリア教育や探究活動の推進、プログラミング教育必修化や小学校の英語教科化への対応、子どもたちに1人1台端末を配布するGIGAスクール構想に基づくICT教育の充実など様々な課題がある。その対応には外部からの多様な人材の参画も必要だが、学校が独自に外部人材を探してつながるのは簡単なことではない。 そこに一石を投じるのが複業先生のサービスだ。「教育に興味がある」「専門性を教育に生かしたい」と思っている民間企業社員やフリーランスをネットワーク化。プラットフォーム上で、外部人材を活用したい学校や自治体のニーズとマッチングしている。
同社代表取締役社長の金谷智さんは公立小学校での教員経験もあり、「教員時代から学校現場の閉そく感に課題感を感じていた。外部人材をつなげることによって、学校の授業のクオリティを上げるサポートをしていきたい」とサービスのねらいを語る。名称に「副業」ではなく「複業」という漢字を使うことには、「本業とのパラレルな活動として自身の強みを学校現場にシェアしてほしい」という思いを込めた。 複業先生登録者のプロフィールは、大手企業の社員、起業家、研究者、大学生など様々。経歴や専門分野も多彩だ。複業先生になるのに教員免許は不要で、年齢や勤務年数などの条件もない。「自分の仕事・取り組みに強い思いや誇りをもっている方であればどんな方でもOK」と金谷さん。複業先生に取り組む前には、学校と複業先生をつなぐ「授業コーディネーター」が実施内容について相談に乗り、子どもたちとのコミュニケーション方法をアドバイスするなど、複業先生の力を引き出すサポート体制も整えた。 「複業先生として自分の経験や思いを子どもたちに伝えることは、自身自身のキャリアの棚卸しにも役立つようです。また、その経験を本業に還元させることができたり、今後のキャリアアップに生かせそうだという声もあります」(金谷さん) 複業先生を経験した人のSNS発信によって活動情報が広がり、最近では海外在住者の登録も増加。2020年12月時点で、37カ国650人が複業先生として登録している。