幅広い合意形成へ真摯・謙虚に政権運営、石破首相が所信表明
Kentaro Sugiyama [東京 29日 ロイター] - 石破茂首相は29日、臨時国会の所信表明演説で、連立与党を基盤にしつつ、他党からも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が得られるよう、真摯に、謙虚に政権運営に取り組むと述べた。政府が策定した総合経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算案を速やかに国会に提出し、早期の成立を目指すとした。 10月の衆院選で少数与党に転じた自民・公明両党は、24年度補正予算案や25年度予算案を含むすべての予算・法案の実現に野党の協力が不可欠となっている。首相は冒頭、石橋湛山・元首相が行った1957年2月の施政方針演説の一節を紹介しつつ、多様な国民の声を反映した各党派が真摯に政策を協議し、よりよい成案を得ることが民主主義のあるべき姿だと述べた。 所信表明は、1)政権運営の基本方針、2)3つの重要政策課題への対応、3)経済対策・補正予算、4)政治改革への対応、5)憲法改正──などで構成した。 3つの重要政策課題では、第1に外交・安全保障政策をあげた。日米安保体制は日本の外交・安保政策の基軸であると同時に、米国も「在日米軍施設・区域の存在から、戦略上大きな利益を得ている」と指摘。米国のトランプ次期大統領とも率直に議論を行い、日米同盟を「さらなる高みに引き上げていきたい」と述べた。 日中関係については、主張すべきことは主張し、協力できる分野では協力していくことが「国益に基づく現実的外交だ」との考えを示し、今後も首脳間を含むあらゆるレベルで意思疎通を図っていくとした。 重要政策の第2は、日本全体の活力を取り戻すことだと述べた。人口減少による活力低下と将来への不安に対処するため、地方創生の再起動、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行、全世代型社会保障の構築の取り組みを強力に進めると表明。「経済あっての財政」の考えのもと、財政状況の改善を進め、危機に強靭な経済・財政を作っていくと語った。 第3の重要政策とした治安・防災への対応では、自然災害発生時の支援体制の充実や26年度中の「防災庁」の設置準備、強盗や詐欺など「闇バイト」への防犯対策も促進すると表明した。 このほど取りまとめた総合経済対策については「党派を超えて優れた方策を取り入れるべく、最大限の工夫を行ってきた」と強調。所得税が課される年収「103万円の壁」について、25年度税制改正の中で議論して「引き上げる」と明言。暫定税率の廃止を含むガソリン減税は、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得ると改めて説明した。