安倍首相が記者会見 新型コロナ対応を説明(全文1)長期戦を覚悟してほしい
地域の雇用、働く場所は守り抜く
これまでになく厳しい状況に陥っている現下の経済情勢に対しても思い切った手を打ってまいります。昨日、来年度予算が成立しました。これによって医療や介護など社会保障の充実、高等教育の無償化など予算を切れ目なく新年度から執行することができます。加えてこのあと政府対策本部を開催し、緊急経済対策の策定を指示いたします。リーマンショック以来の異例なことではありますが、来年度予算の補正予算を編成し、できるだけ早期に国会に提出いたします。国税・地方税の減免、金融措置も含め、あらゆる政策を総動員して、かつてない強大な政策パッケージを練り上げ、実行に移す考えです。 昨日まで7回にわたり現場の声、地域の声を直接伺ってまいりました。さまざまな活動の自粛などに伴って日本経済全体にわたって極めて甚大な影響が生じています。来月のバス予約は前年比で9割減、航空業界もすでに年間の営業利益が全て吹っ飛ぶぐらいの減収となっています。宿泊や飲食といった業界でも売り上げが8割、9割減ったところも多い。音楽業界ではイベントが中止となり、売り上げはゼロどころかマイナスだという話もありました。 先行きが見通せない中で中小・小規模事業者の皆さんからはまさに死活問題であるとの悲痛な声がある一方で、歯を食いしばってこの試練を耐え抜くよう頑張っていくという決意も伺うことができました。政府としてこうした窮状を徹底的に下支えし、地域の雇用、働く場所はしっかりと守り抜いてまいります。そしてこういうときだからこそ、人々の心を癒やす文化や芸術、スポーツの力が必要です。困難にあっても文化の火は絶対に絶やしてはなりません。
生活のための給付を実施する
ただ、どうしても感染拡大の防止が最優先となる現状では、まずこの難局を乗り切っていただくことに重点を置いた対策を進めます。中小・小規模事業者の皆さんにはすでに実質無利子・無担保、最大5年間元本返済据え置きという大胆な資金繰り支援策を講じてきたところですが、この無利子融資を民間金融機関でも受けられるようにいたします。さらに融資だけでなく、皆さんにこの困難を乗り越えていただくために、新しい給付金制度を用意いたします。 現下の厳しい現実を踏まえ、これまでにない規模で前例のない中小・小規模事業者支援を実施いたします。仕事が減るなどにより収入が減少し、生活に困難を来す恐れのあるご家庭には返済免除も可能な小口資金支援、税や公共料金の支払いの猶予などをすでに進めてきましたが、これに加え思い切った、生活のための給付を実施してまいります。政府を挙げてさまざまな境遇の方の声に耳を澄まし、きめ細かな支援を行う考えです。 そして感染の拡大が抑制され、社会的な不安が払拭された段階では一気に日本経済をV字回復させていく。全国津々浦々、皆さんの笑顔を取り戻すため旅行、運輸、外食、イベントなどについて短期集中で大胆な需要喚起策を講じるなど、力強い再生を支援する考えです。世界が協調し、強大な経済財政政策を実行する、これが先般のG20サミットにおける合意です。世界の協調をリードするわが国としてはリーマンショック時の経済対策を上回る、かつてない規模の対策を取りまとめてまいります。 国民の皆さんがこの夏の開催に胸を躍らせてきた東京2020オリンピック・パラリンピックについてはやむを得ず延期し、遅くとも来年夏までに開催することとします。この夏に照準を合わせて頑張ってきたアスリートの皆さんには大変申し訳ない気持ちでいっぱいでありますが、世界の現状を踏まえ、ご理解をいただきたいと考えています。