安倍首相が記者会見 新型コロナ対応を説明(全文1)長期戦を覚悟してほしい
密閉・密集・密接を避ける行動を
国民の皆さんにも不要不急の渡航の自粛をお願いいたします。そして集団による感染のリスクを下げるため、いわゆる3つの条件をできるだけ避ける行動をあらためてお願いいたします。第1に換気の悪い密閉空間、第2に人が密集している場所、そして第3に近距離での密接な会話。密閉、密集、密接、この3つの密を避ける行動をお願いします。 新学期からの学校再開にあたり、今週、文部科学省がガイドラインをお示ししました。教室の窓を開けて換気を徹底するなど、3つの条件を回避する対策をそれぞれの教育現場で徹底的に講じていただくことで子供たちの感染防止に万全を期す考えです。再開に当たっては来週にももう一度、専門家会合を開き、専門的な見地からご意見を伺う考えです。 専門家の皆さんが瀬戸際だという見解を示してから1カ月余りがたちました。この間、3つの条件のように分かってきたこともありますが、大規模イベントの中止、延期、規模縮小等を要請するなど、国民の皆さまには大変なご苦労をお願いしてまいりました。ご協力に心から感謝申し上げます。 中にはこの1カ月で、いわばコロナ疲れ、自粛疲れとも呼ぶべきストレスを感じておられる方も多いかもしれません。しかしオーバーシュートが発生した欧米各国では都市を封鎖したり、強制的な外出禁止、生活必需品以外の店舗封鎖など強硬な措置を講じざるを得なくなっています。現在、大変ご不便をお掛けをしていますが、それはいっそう厳しいこのような強硬措置を回避するためのものであることをまずご理解いただきたいと思います。
治療薬やワクチン開発を加速
繰り返しになりますが日本は欧米とは異なって、現状ではまだぎりぎり持ちこたえています。しかしそれ故に少しでも気を緩めればいつ急拡大してもおかしくない。幸いオーバーシュートを回避できたとしても、それはまさに水際の状態がある程度の長期にわたって続くことを意味します。この戦いは長期戦を覚悟していただく必要がある、そのことを率直に申し上げ、感染拡大の防止に引き続き、皆さまのご協力を賜りますようお願いいたします。 政府としても1日も早く皆さんの不安を解消できるよう、有効な治療薬やワクチンの開発を世界の英知を結集して加速してまいります。先般、テレビ電話で実施されたG7サミットでも、G20サミットでもそのことを強く主張し、世界の首脳たちから賛同を得ました。 わが国では4つの薬についてすでに観察研究としての投与を開始しています。このうち新型インフルエンザの治療薬として承認を受け、副作用なども判明しているアビガンについては、これまで数十例で投与が行われています。ウイルスの増殖を防ぐ薬であり、すでに症状の改善に効果が出ているとの報告もあります。アビガンには海外の多くの国から関心が寄せられており今後、希望する国々と協力しながら臨床研究を拡大するとともに薬の増産をスタートします。新型コロナウイルス感染症の治療薬として、正式に承認するに当たって必要となる治験プロセスも開始する考えです。 エボラ出血熱の治療薬として開発されていたレムデシビルについては、日米が中心となった国際共同治験がスタートしています。そして5つ目の有力候補として膵炎の治療薬に承認されているフサンについて今後、観察研究として事前に同意を得た患者の皆さんへの投与をスタートする予定です。 さらには現在、治療薬やワクチンなどの開発に向けて、大学や民間企業でもさまざまな動きが出てきています。これらを政府が力強く後押しすることにより、あらゆる可能性を追求します。日本だけでなく世界中を未曾有の不安と恐怖が覆う中で、日本は持ち前のイノベーションの力で希望の火をともす存在でありたいと願っています。