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都市近郊区間と廃止区間、JR札沼線の思い出【後編】 

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 JR札沼線の旅。前編では、札幌近郊の通勤通学路線の様子を紹介した。後編では、いよいよ田園地帯を走る抜ける非電化単線のローカル区間の長閑な旅をレポートしよう。 この記事の写真はこちら    JR札沼線は、石狩当別駅の次の北海道医療大学駅までが電化区間で札幌発の電車の終点である。その先は、非電化区間となっていてディーゼルカーが走っているのだが、列車の起終点は石狩当別駅である。つまり石狩当別駅と北海道医療大学駅の間は、電車とディーゼルカーの二種類の列車が走っていたのだ。しかし、新十津川方面まで行くのなら、始発駅の石狩当別駅から乗車したほうが好きな席を選べてよい。それゆえ、札幌発の列車を石狩当別駅で降り、ここから新十津川方面へ向かうディーゼルカーに乗車したのである。  石狩当別駅を発車したディーゼルカーは、当別川を渡り、実にのんびりと進む。駅の間は長く、5分ほどかかって北海道医療大学駅に着く。名前の通り、駅前には大学のキャンパスが広がっている。ホームは2本あり、大学キャンパス側のものは当駅行き止まり列車専用のもの。ディーゼルカーは通り抜けできる1番線に停車する。  発車すると、頭上の架線はなくなり、いよいよ非電化単線のローカル線をゆったりと進む。右側には国道がぴったりと寄り添い、その向こうは広大な石狩平野で、遠くを石狩川が流れている。一方、左側は丘陵地帯で、先に進むとピンネシリを中心とする樺戸三山が見えてくる。石狩金沢、本中小屋、中小屋といずれも貨物列車に連結していた車掌車の廃車体を利用した小さな駅舎が続く。さらに進むと石狩月形駅に停車。ここで対向列車とすれ違う。この先、終点の新十津川駅まで列車のすれ違いができる駅はないので、貴重な駅である。それなりの規模の駅舎が建っていて駅員がいる。タブレット交換でおなじみのわっか状のものを受け渡している。この路線のものはスタフ閉塞という。  石狩月形駅を発車し、しばらくすると刑務所の近くを通って森の中へ入っていく。列車には冷房装置がないので、窓を開ける。停車していると蒸し暑いけれど、走り出すと大自然の爽やかな風が入ってきて心地よい。森の中では木の枝や葉っぱが時折車内に入ってきて体に触れることがある。たまには擦れて怪我をすることもあるので気をつけた方がよい。  通っているところは人の気配がなさそうな場所であるが、ちゃんと駅がある。豊ヶ丘駅といい、ホームから少し離れたところに木造の待合室が建っている。「不審者注意」の張り紙があるように、一人降りるのはちょっと勇気がいるかもしれない。鉄道ファンの間では「秘境駅」として人気のある駅だ。  豊ヶ丘駅を出ると、再び平野の中に出て、札比内(さっぴない)駅に停まると次は晩生内(おそきない)駅。難読駅であるし、どんな駅か気になったので降りてみた。    一つ手前の札比内駅と似たような小さく味わい深い木造駅舎がいい味を出している。駅舎の脇には大きな木が立っていて、絵になる情景だ。駅舎の中は古びてはいるものの綺麗に掃除されていて清潔感にあふれている。地元の人が手入れしてくれていたようだ。周囲を少し歩いてみると福祉施設があった。小学校の記念碑が建っていたので、閉校した学校の敷地内に施設ができたようだ。ほかにも少しは建物があるものの歩いている人はいない。駅にいるのも私と編集者の男2人だけ。のんびりと50分滞在すると、森の中から石狩当別行きがやってきたので、その列車に乗って来た道を戻った。  30分ほど上り列車に乗って中小屋駅に到着。北海道医療大学駅を出てから連続して目にした車掌車を駅舎に利用した駅の一つだ。車掌車はさびだらけのわびしい姿だったが、中は意外にも小ぎれいに保たれていた。もっとも人の気配は全くない。駅前を線路に並行する形で国道が走っていて、横断すると郵便局がある。駅舎とは比べものにならないくらい立派な建物で、それを見ていると札沼線が実にみすぼらしく思えてしまう。駅に戻ると、ホームからは田んぼとその先のなだらかな山並みが望まれる。背後の国道を通過する車の音以外は何もなく静まり返っていた。    やがて森の中から夕方の新十津川行きが現れたので、それに乗って再び下り列車の客となった。今度は5分だけ、一駅乗って月ヶ岡駅で下車した。ホームから少しだけ離れたところにログハウス風の建物があり、待合室として使われている。何でも古い駅舎が火事で焼けたため洒落た建物としたようだ。古びた駅舎が続いたので、こうした建物は新鮮だ。少しは地元の人がいて、24分後の上り列車に一緒に乗車した。  1日目は、このまま札幌に戻り宿泊。2日目は、札幌から再び札沼線の客となり、石狩当別駅から新十津川行きに乗り換える。いよいよ終点を目指すのだ。  1日目に途中下車した中小屋駅、月ヶ岡駅、それに晩生内駅を車内から振り返り、いよいよ札沼線の未乗区間へと進む。

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