サウサンプトンで輝き取り戻す南野 移籍で引き出された本来の姿
冬の移籍は正解だった
今季の冬の移籍市場でサウサンプトンに電撃移籍した南野拓実。モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノらリヴァプールではワールドクラスのライバルの前に出番を得ることが難しく、日本代表MFはローンの形で武者修行に出る道を選択した。 サウサンプトンに移籍後ここまでは、プレミアリーグで5試合に出場して2ゴールを記録。途中出場が多く、少ない時間のなかで結果が求められ苦戦したリヴァプール時代に比べると、先発出場の機会が与えられプレイ時間を確保した現在の状況は、南野にとってポジティブな側面をもたらしたといえる。 ラルフ・ハーゼンヒュットルに与えられた[4-4-2]の2列目のポジションで、攻守にアグレッシブな働きを続けている。持ち味の運動量を活かしたプレッシングはリヴァプール時代にも評価され、ユルゲン・クロップに[4-3-3]のインサイドハーフへの適応を試された時期もあったが、より攻撃的にも振る舞えるサウサンプトンでの役割は南野の選手としての特徴がより引き出される形だろう。 実際サウサンプトン移籍での役割変化によって、ザルツブルクや日本代表でも見られた2列目から飛び出す得意の形が増えてきている。それがデビュー戦となったニューカッスル戦や巧みな飛び出しで先制点をうばったチェルシー戦のゴールで結果として表れている。そのほかにもゴールに迫るシーンはリヴァプール時代よりも増えており、ハーゼンヒュットルからも早くも得点源として期待される存在になっている。 また、南野にとって移籍での大きなメリットの一つといえるのがビッグ6との対戦である。リヴァプール時代に試合終了間際に投入されることはあったが、クロップはこの日本代表MFを大一番で先発や途中出場で長く起用することは少なかった。サウサンプトン移籍後のチェルシー戦でエンゴロ・カンテの執拗なプレスに苦しむ姿が見られたが、先発出場の機会が増えたセインツでレベルの高いディフェンスと対峙するチャンスが増えることは、南野の個人としての成長につながり、将来的にリヴァプールへ戻った場合にもその経験はプラスに働くはずだ。 サウサンプトンは、現地時間3月10日に首位を走るマンチェスター・シティとの一戦を迎える。ロドリ、フェルナンジーニョ、ジョアン・カンセロ、カイル・ウォーカーら対峙が想定される選手はいずれもプレミアリーグを代表する猛者ばかり。チェルシー戦でカンテ相手に経験したように、南野がトップレベルの選手との対戦で掴む感覚や得られる発見があるだろう。 サウサンプトンで出場機会を増やし、結果も残すなど復調の気配を見せ始めた南野。プレミアリーグで奮闘を続ける日本代表MFがセインツでどのような活躍を見せるのか。その成長ぶりからは目が離せない。
構成/ザ・ワールド編集部